Faylay~しあわせの魔法
「バアさん、馬車が来たぞー」
歩道から人々がそう声をかけるが、老婆が動く気配はない。
ハラハラしながら見守っていると、ゆっくりと走っていた馬車の車軸が突然壊れ、傾いた客室から乗っていた人達が勢い良く投げ出された。
「グィーネ!」
咄嗟にリディルが風の精霊を召喚し、煉瓦敷きの道に叩きつけられそうになっていた乗客たちの衝撃を和らげる。
だが外れた車輪は勢い良く歩道に突っ込んでいく。
「危ない!」
ヴァンガードは太腿のホルスターから魔銃を引き抜き、鋼の精霊スティルの力を放つ。転がってきた車輪は、いくつもの鋭い刃に貫かれてバラバラに飛び散った。
更に、大きな音に驚いた馬たちが暴走する。
道を真っ直ぐに駆けてきて、仁王立ちする老婆に突っ込んでいく。
「バアちゃん!」
フェイレイが飛び出し、老婆と少女を両脇に抱えると、暴走する馬をギリギリかわした。その暴走した馬にローズマリーが飛び乗り、手綱を引く。
見事な連携プレーで大惨事は免れた。歩道からは一斉に拍手が沸き起こる。
「はー、危なかった。バアちゃん、あんなところにいたら危ないだろ? ちゃんと歩道歩かなきゃ」
黒い街灯の傍に老女と少女を下ろし、そう言うと。
大きな目をらんらんと輝かせて、老婆はフェイレイを見上げていた。
「お前さんが運命の人かい」
「え? 何それ」
「ふぅ~む。こんな青臭いコドモか~。ワシャ帽子の似合う髭の素敵なダンディさんが良かったが、仕方あるまい。ここでワシを助けてくれる運命の人、それがお前さんだったというわけじゃな」
歩道から人々がそう声をかけるが、老婆が動く気配はない。
ハラハラしながら見守っていると、ゆっくりと走っていた馬車の車軸が突然壊れ、傾いた客室から乗っていた人達が勢い良く投げ出された。
「グィーネ!」
咄嗟にリディルが風の精霊を召喚し、煉瓦敷きの道に叩きつけられそうになっていた乗客たちの衝撃を和らげる。
だが外れた車輪は勢い良く歩道に突っ込んでいく。
「危ない!」
ヴァンガードは太腿のホルスターから魔銃を引き抜き、鋼の精霊スティルの力を放つ。転がってきた車輪は、いくつもの鋭い刃に貫かれてバラバラに飛び散った。
更に、大きな音に驚いた馬たちが暴走する。
道を真っ直ぐに駆けてきて、仁王立ちする老婆に突っ込んでいく。
「バアちゃん!」
フェイレイが飛び出し、老婆と少女を両脇に抱えると、暴走する馬をギリギリかわした。その暴走した馬にローズマリーが飛び乗り、手綱を引く。
見事な連携プレーで大惨事は免れた。歩道からは一斉に拍手が沸き起こる。
「はー、危なかった。バアちゃん、あんなところにいたら危ないだろ? ちゃんと歩道歩かなきゃ」
黒い街灯の傍に老女と少女を下ろし、そう言うと。
大きな目をらんらんと輝かせて、老婆はフェイレイを見上げていた。
「お前さんが運命の人かい」
「え? 何それ」
「ふぅ~む。こんな青臭いコドモか~。ワシャ帽子の似合う髭の素敵なダンディさんが良かったが、仕方あるまい。ここでワシを助けてくれる運命の人、それがお前さんだったというわけじゃな」