Faylay~しあわせの魔法
「もう、おばあちゃんたら! そんなことより、助けてくれたお礼が先でしょう!」

老婆の隣に立つ少女がプリプリと怒っている。そしてフェイレイに頭を下げた。

「すみません、助けていただきありがとうございました」

「あ、いえ」

フェイレイ複雑な笑みを浮かべながら、頭を掻く。

「よし、じゃあ行こうかの」

老婆のシワシワの手がフェイレイの手首をガシッと掴み、グイグイと引っ張る。

「あ、いや、あの、どこへ?」

あまり強く抵抗すると老婆の細い腕が折れそうで、されるがままに歩き出すフェイレイ。

「決まっておる。ワシの家じゃ」

「なんで?」

「お前さんが運命の人だからじゃ」

「運命の人って……」

何? と聞こうとしたところで、ローズマリーがやってくる。

「運命の人? フェイレイくんが? まあ……おばあさん、フェイレイくんと結婚しますの?」

「ハアァ!?」

フェイレイは思わず叫び声を上げた。

「ローズさん、冗談はやめてください!」

「だって、運命の人だなんて、素敵なことを言うのですもの……」

ローズマリーは眉尻を下げながら、口元を手で隠す。思いがけずやってきた珍騒動に、緩んだ口元を隠しているに違いない。
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