Faylay~しあわせの魔法
そこにリディルの姿があった記憶はないが、一応、聞いてみる。

「リディル、占いとか、好き?」

「え? ……別に」

何事にも興味を示さないリディルは、淡白にそう返す。しかし少しだけ視線が泳いだのを、フェイレイは見逃さなかった。

(興味あるんだ)

ぱあっと顔を輝かせて、ローズマリーも見る。

「ローズさんは?」

「大好きですわよ。よく占師さんに来ていただきましたわ」

「よっしゃ。ヴァンは……」

ヴァンガードにも視線を向けたが、この際彼の意見はどうでもいいや、と老婆と向き直る。

「バアちゃん、俺たちのこと、占ってくれる?」

「さっきから、そうすると言うておる。さあ、ワシの家まで行くぞ! 気合い入れてワシの最後の占いを見届けるのじゃ!」

杖をつきながら軽快に歩き出した老婆の後ろを、少女がフェイレイたちにペコペコと頭を下げながらついていく。



状況から暗く沈みがちになりやすい精神を、なんとか明るい方へ持っていきたい。

この逃亡生活が、少しでも穏やかなものになりますように。

そんな願いを抱きながら、フェイレイは仲間たちと一緒に老婆についていった。


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