Faylay~しあわせの魔法
穏やかなコバルトブルーの海を滑るように疾走する船上で、キャプテン・ブラッディは難しい顔で顎の無精髭をザラザラと撫でた。
「クソ……」
溜息交じりに呟くと、ゆっくりと目を閉じる。
「……どうします? 報せますか?」
頭に黄色のバンダナを巻いた海賊のひとりも、厳つい顔に沈痛な色を浮かべている。
「いや」
ブラッディは目を開けた。
「どう考えたって誘き出すための罠だ。本当にセルティアが魔族の大群の攻撃を受けているのか、東にいるヤツラに調べさせろ」
皇都ユグドラシェル発で、全世界にセルティアが魔族に襲われていると報じられている。
皇都を守護するギルド本部に匹敵する、大規模な兵力を擁するあの国が、たとえ魔族に襲われたとしてもそう易々と落ちることはないはずで、すぐに嘘だと判断するところだが。
星府軍の攻撃を受け、多大なる犠牲を出した後となると、その情報も頭から否定することは出来ない。
「フェイレイの母さんが支部長なんだろ? その人と連絡取りてぇな」
「セルティアとの通信は完全に遮断されてますぜ。星府軍の妨害が入ってますからねぇ」
「なら直接ギルドまで行ってこい」
「ギルドって……国のど真ん中じゃねぇですか! 魔族の大群と出くわしたらどうしましょう」
「海賊が魔族なんかでビビってんじゃねぇよ! なんとしてでも辿り着け!」
「ひぇ~」
「クソ……」
溜息交じりに呟くと、ゆっくりと目を閉じる。
「……どうします? 報せますか?」
頭に黄色のバンダナを巻いた海賊のひとりも、厳つい顔に沈痛な色を浮かべている。
「いや」
ブラッディは目を開けた。
「どう考えたって誘き出すための罠だ。本当にセルティアが魔族の大群の攻撃を受けているのか、東にいるヤツラに調べさせろ」
皇都ユグドラシェル発で、全世界にセルティアが魔族に襲われていると報じられている。
皇都を守護するギルド本部に匹敵する、大規模な兵力を擁するあの国が、たとえ魔族に襲われたとしてもそう易々と落ちることはないはずで、すぐに嘘だと判断するところだが。
星府軍の攻撃を受け、多大なる犠牲を出した後となると、その情報も頭から否定することは出来ない。
「フェイレイの母さんが支部長なんだろ? その人と連絡取りてぇな」
「セルティアとの通信は完全に遮断されてますぜ。星府軍の妨害が入ってますからねぇ」
「なら直接ギルドまで行ってこい」
「ギルドって……国のど真ん中じゃねぇですか! 魔族の大群と出くわしたらどうしましょう」
「海賊が魔族なんかでビビってんじゃねぇよ! なんとしてでも辿り着け!」
「ひぇ~」