Faylay~しあわせの魔法
ずっと長い間、人々は塔の下で待っていました。
男が無事にお姫様のところに辿り着くのを。お姫様の心が癒されるのを。ずっと、ずっと待っていました。
何十年も経ったある日。
突然、塔がガラガラと音を立てて崩れてきました。人々は驚いて空を見上げます。
天にも届く高さの塔はみるみる崩れて、とうとう無くなってしまいました。
人々は男とお姫様の身を案じて、山となった瓦礫を掘り進みましたが、結局2人は見つかりませんでした。
2人とも死んでしまったのでしょうか……。
人々が哀しんでいると、ひとりの老人がこう言いました。
「いいや、きっと、お姫様の元にあの男が辿りついたのだろう。そして、哀しみが癒されたから塔が崩れたのだ」
人々はその言葉を信じることにしました。
そして、2人はどこかで幸せに暮らしているのだろうと、思うことにしました──。
──ミルトゥワ逸史 『勇者伝説』より──
男が無事にお姫様のところに辿り着くのを。お姫様の心が癒されるのを。ずっと、ずっと待っていました。
何十年も経ったある日。
突然、塔がガラガラと音を立てて崩れてきました。人々は驚いて空を見上げます。
天にも届く高さの塔はみるみる崩れて、とうとう無くなってしまいました。
人々は男とお姫様の身を案じて、山となった瓦礫を掘り進みましたが、結局2人は見つかりませんでした。
2人とも死んでしまったのでしょうか……。
人々が哀しんでいると、ひとりの老人がこう言いました。
「いいや、きっと、お姫様の元にあの男が辿りついたのだろう。そして、哀しみが癒されたから塔が崩れたのだ」
人々はその言葉を信じることにしました。
そして、2人はどこかで幸せに暮らしているのだろうと、思うことにしました──。
──ミルトゥワ逸史 『勇者伝説』より──