Faylay~しあわせの魔法
(なんで拳闘士って)
こんなにも容赦がないのだろうか。
女拳闘士には、ほとほと痛い目に合わされる。
不敵な笑みを浮かべる母の姿を思い浮かべながら、向かってくる拳がそれ以上の速さと重みを持っていることはすぐに分かった。
「さすが世界一」
それに追いつけなければ、あのアレクセイにも勝てないということだ。
「おっしゃ。手加減はしない!」
そう決めて、挑み続けて小一時間。
とうとう一撃も入れることが出来ないまま、ここまで、とローズマリーに止められた。そう声がかかった途端、糸が切れたように地面に仰向けに倒れる。
「私と互角に戦える──と思ったのですけれどね。貴方、お強いから」
ローズマリーの言葉に、フェイレイは眉を顰めた。
「全然、駄目だったけど?」
こんな相手は初めてだった。子供の頃、母や父に勝てなかったことはあったけれども、傭兵になってから2,3年で、彼はセルティアでは無敵の剣士となっていたのだ。
腹の奥から悔しさが込み上げてくる。こんな感情を湧き上がらせるのも久しぶりだ。
力もスピードも、ローズマリーに劣っていたとは思わない。
けれど、手も足も出なかった。
「強いはずですよ。でも、勝てなかった。その理由はお分かりになったかしら」
タオルで汗を拭いながら、草の上に倒れたフェイレイを見下ろす。
フェイレイは軽く首を振った。
それを見て、ローズマリーは人差し指を顎にあて、うーん、と考え込む。
それから、うん、と頷いた。
こんなにも容赦がないのだろうか。
女拳闘士には、ほとほと痛い目に合わされる。
不敵な笑みを浮かべる母の姿を思い浮かべながら、向かってくる拳がそれ以上の速さと重みを持っていることはすぐに分かった。
「さすが世界一」
それに追いつけなければ、あのアレクセイにも勝てないということだ。
「おっしゃ。手加減はしない!」
そう決めて、挑み続けて小一時間。
とうとう一撃も入れることが出来ないまま、ここまで、とローズマリーに止められた。そう声がかかった途端、糸が切れたように地面に仰向けに倒れる。
「私と互角に戦える──と思ったのですけれどね。貴方、お強いから」
ローズマリーの言葉に、フェイレイは眉を顰めた。
「全然、駄目だったけど?」
こんな相手は初めてだった。子供の頃、母や父に勝てなかったことはあったけれども、傭兵になってから2,3年で、彼はセルティアでは無敵の剣士となっていたのだ。
腹の奥から悔しさが込み上げてくる。こんな感情を湧き上がらせるのも久しぶりだ。
力もスピードも、ローズマリーに劣っていたとは思わない。
けれど、手も足も出なかった。
「強いはずですよ。でも、勝てなかった。その理由はお分かりになったかしら」
タオルで汗を拭いながら、草の上に倒れたフェイレイを見下ろす。
フェイレイは軽く首を振った。
それを見て、ローズマリーは人差し指を顎にあて、うーん、と考え込む。
それから、うん、と頷いた。