Faylay~しあわせの魔法
「明日は剣で勝負いたしましょう。貴方は剣士なのですから、そうしなければ練習になりませんわ」

「……でも、ローズさんに怪我させるかもよ?」

「そういうことは、私に一撃でも入れてからお言いなさいね」

「うぅ……」

フェイレイは言葉を詰まらせる。今現在、あまりのダメージのため、起き上がることが出来なかった。

「治療してくださる方がいるのですから、そんな心配はご無用。さあ、今日はテントに戻って休みましょう。その前にリディルに傷を治してもらいなさい」

と、ローズマリーはフェイレイの傍にしゃがみ込んだ。

「おんぶして差し上げます」

「え、いい、いいです」

フェイレイは強く首を振った。途端に全身に痛みが走り、顔を引きつらせた。

「何を言っているのです。起き上がれもしないくせに。……それとも、お姫様抱っこがよろしいかしら」

「絶対イヤだぁ!」

楽しそうに笑うローズマリーに、フェイレイは顔を真っ赤にして拒否した。

彼女の力なら楽々出来てしまうのだろうが、それは画的に、男として屈辱である。

「抱っこが嫌なら、おんぶでよろしいですわよ」

「自分で歩くー!」

フェイレイの腕を掴み、おんぶしようとするローズマリーの心遣いを断固として拒否し、ジタバタ暴れていると。

どういうはずみか。

むにっと。

柔らかなものを鷲づかみにしてしまった。
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