Faylay~しあわせの魔法
支えられながらもう一度幹に背を預けて座り、情けない、とまた溜息。

明日は剣で勝負だ。

とはいえ、今日の動きを反芻すると、剣でも一撃入れられるかどうか分からない。

(何が足りない?)

明日は勝ちたい。

リディルにこんな情けない姿を晒すのは、嫌だ……。

「フェイ」

どうすればローズマリーに勝てるのか思案していると、すぐ目の前からリディルが声をかけてきた。

「ん?」

顔を上げて目が合うと、リディルはすぐに視線を下へ逸らした。タオルを握り締めながら、そわそわした様子だ。

「……ん?」

首を傾げると、リディルは少し躊躇った様子を見せながら、視線だけを上げた。

「フェイは、ね」

「何?」

「……やっぱり、胸の大きい女の人の方が、好き、なの?」

「……はあぁ!?」

思わず大声を上げてしまう。

「いや、ちょっと待って、なんでそんな……」

慌てながら脳内思考を全速で駆け巡らせる。

何故そんなことを聞かれるのかと言えば、先程ローズマリーが投下していった爆弾のせいだろう。

(いや、確かに目はいくけど)

それは男の性なので。好きかと聞かれればそれは好きかもしれないけれど。

(でも)

好きにも色々種類があるわけで。

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