Faylay~しあわせの魔法
どう答えればいいのかを脳内で模索しながら頭を振る。リディルの聞きたい答えを搾り出さなければ。

「いやいやいや、別にそういうことはないから!」

「……そう?」

そう、胸は好きだが、胸の大きな『女性』が好きなわけではない。そういう答えが弾き出された。

「うん。あの、別に……そういうのは気にしないし」

「……そう?」

「うん」

「……ふうん」

じいっと見つめられて少し焦ったが、リディルの顔がどこかほっとしているように見えて──フェイレイは目を瞬かせた。

「えと……なんで、そんなこと聞くの?」

「え?」

そう言って軽く目を見開くリディルの顔色は、火を背にしているおかげでまったく分からないのだけれど。

「別に……ちょっと、聞いてみただけ……」

困ったような顔をして、すぐに視線を逸らす彼女の頬が赤くなったような気がした。

「それは、俺の意見で、いいの?」

ドキドキしながら聞いてみると。

「……フェイじゃないと、意味がない」

囁くように、躊躇うように、けれどしっかりと答えが返ってきた。

「なんで?」

気が付いたらそう口から疑問符が飛び出し、リディルの逸らされた視線を戻すように、指が彼女の頬に触れていた。

「なんで俺じゃないと、駄目?」

正面から視線がかち合う。

焔色の光を宿す青と翡翠の瞳に、互いの姿を映したまま離れられなくなる。そのまま吸い寄せられてしまうような、そんな錯覚に陥った。
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