Faylay~しあわせの魔法
「皆様、いかがでしたか、料理は口に合いましたか?」
「ええ、とてもおいしくいただきました」
「それは何よりです」
主人は朗らかな笑みで頷いた後、その笑みを潜めて小声で話しかけてきた。
「あの、失礼ですが、皆様は都の貴族様ではありませんか?」
ギクリ、と全員の顔が引きつる。
「いえ……何故、そのように?」
「皆様の立ち居振る舞いが、庶民のものとは違ったので……護衛の方もおられますし」
チラ、と主人が視線を向けるのは、フェイレイだ。
「……俺だけ庶民ぽいのか」
フェイレイはちょっと落ち込んだ。庶民に違いは無いけれど、これでも一応、ギルドのお偉いさんの息子なのだが。
そんなフェイレイを尻目に、ローズマリーは宿の主人に話しかける。
「もし仮にそうだとして……どうしたというのですか?」
「違ったらすみません。ですが最近この辺りでは、身分の高い方の誘拐事件が頻発しておりまして」
「誘拐事件?」
4人は声を揃えて聞き返す。
「狙われるのは、皆、美しい淑女ばかりなのです。そのお宅に前もって予告状が届くらしくて」
「まあ」
「それで、お嬢様方のような美しい方々の外出は、お控えくださいますよう、お願いしているところなのです」
「予告状が届かなくとも?」
「はい、念のために」
「そうですか。ありがとうございます、気をつけますわ」
宿の主人はほっとした顔になり、あの派手な客の方に歩いていった。おそらく同じように忠告するつもりなのだ。
「ええ、とてもおいしくいただきました」
「それは何よりです」
主人は朗らかな笑みで頷いた後、その笑みを潜めて小声で話しかけてきた。
「あの、失礼ですが、皆様は都の貴族様ではありませんか?」
ギクリ、と全員の顔が引きつる。
「いえ……何故、そのように?」
「皆様の立ち居振る舞いが、庶民のものとは違ったので……護衛の方もおられますし」
チラ、と主人が視線を向けるのは、フェイレイだ。
「……俺だけ庶民ぽいのか」
フェイレイはちょっと落ち込んだ。庶民に違いは無いけれど、これでも一応、ギルドのお偉いさんの息子なのだが。
そんなフェイレイを尻目に、ローズマリーは宿の主人に話しかける。
「もし仮にそうだとして……どうしたというのですか?」
「違ったらすみません。ですが最近この辺りでは、身分の高い方の誘拐事件が頻発しておりまして」
「誘拐事件?」
4人は声を揃えて聞き返す。
「狙われるのは、皆、美しい淑女ばかりなのです。そのお宅に前もって予告状が届くらしくて」
「まあ」
「それで、お嬢様方のような美しい方々の外出は、お控えくださいますよう、お願いしているところなのです」
「予告状が届かなくとも?」
「はい、念のために」
「そうですか。ありがとうございます、気をつけますわ」
宿の主人はほっとした顔になり、あの派手な客の方に歩いていった。おそらく同じように忠告するつもりなのだ。