Faylay~しあわせの魔法
「でも、私では身長差がありすぎて誤魔化せません。フェイレイくんも……」

「俺でいいならやるけど」

任務であるならば、女装だろうがなんだろうがやる。傭兵とはそういうものなのだ。

しかし、ローズマリーは静かに首を振った。

「無理ですわ。貴方確かに細いのですけれど、腕も首も男性のそれです。一応剣士ですものねぇ……。これだけシルヴァさんが目立った後ですから、やはり同じような人でないと」

ローズマリーの視線が、ヴァンガードへ向いた。

それにつられるように、全員の視線が水色の髪の少年に集まる。

「……え?」

集中する視線に気づいて、ヴァンガードは顔を上げる。

みんな、黙ってじいっとヴァンガードを見つめていた。

「……僕ですか!?」

一歩後退すると、ベッドに引っかかってストン、と腰を下ろしてしまった。

「目の色、シルヴァさんと同じですし」

「ヒールの高さで身長はごまかせる」

「ヴァンくんはまだ細いですしね。十分、女の子で通りますわ」

「うん」

女性2人は頷きあった。

「ちょ、待ってくださ……」

「頑張れ、ヴァン! 任務だ!」

フェイレイには力強く肩を叩かれた。

< 429 / 798 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop