Faylay~しあわせの魔法
ティナの弱々しい灯りに照らされるフェイレイの顔は、今までみたことのない、険しい顔をしていた。それはそのまま、この奥に潜む敵の強さを表しているのだろうと、ヴァンガードはごくりと唾を飲み込む。

『一緒に行けば分かる』

そのアリアの言葉が、ヴァンガードの脳裏を掠めていった。



ティナたちの炎が先導し、2人はゆっくりと坑道を奥へ進んでいく。ひやりとした空気に囲まれているのに、何故か身体は熱かった。心臓の音が、煩く鳴り響く。

ふいに、先導していたティナたちが戻ってきた。

「どうした?」

ティナたちは一様に首を横に振っている。

「どうしたの? ちゃんと道を照らしてくれなきゃ……」

「ヴァン!」

フェイレイはヴァンガードの腕を掴んで背後にやる。

「え、何ですか……」

焦りながらも、周囲に気を張り巡らせる。重々しい気配はずっとしているものの、まだ本元に辿り着いた雰囲気ではないのに……。

「……ティナ。天井の方にいて」

フェイレイの言葉に、ティナたちは天井すれすれまで舞い上がった。

「ヴァン、なるべく下を見ないように進め」

「え……?」

不思議に思いながらも、手を引かれているヴァンガードは、フェイレイに寄り添うようについていく。
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