Faylay~しあわせの魔法
赤、青、白、黄色……色とりどりのカラフルボールがフェイレイの肌を掠める。

瞬間、空気が振動して次々に大爆発が起きた。

リディルは走りながら振り返るが、フェイレイならば大丈夫だと判断して、先へ向かう。

「ヴァン、地面に向かってグィーネを撃って!」

言いながら、自身も風の精霊グィーネを召喚する。それをヴァンガードに向かって放ってすぐ、水の精霊ウィスカを召喚。

「クッションを!」

水の精霊たちは水を纏いながら輪を作り、5メートル四方の薄い水の膜を創り上げた。

ドン、と音がして上空で風の力が巻き起こる。

落下してくるヴァンガードが魔銃を地面に向けて撃った音だ。だがそれだけでは落下スピードを完全に落とすことは出来ないので、リディルの召喚した風の精霊たちも応援に行く。

ぐん、と落下スピードが落ちたヴァンガードの身体は、そのまま水の精霊たちの創ったクッションへ突っ込んだ。

ネットのように広がった水のクッションは、ヴァンガードの身体を沈み込ませると、ぼよん、と弾き返した。

「あ」

「うわっ」

ヴァンガードの身体は、また宙へ飛ぶ。

「ごめん」

落ちてきた瞬間にもっと柔らかく調整するべきだった、と謝りながら、ウィスカたちを動かす。

慌てたようにヴァンガードの落下地点へ飛んでいった水の精霊たちは、薄い水の膜でくるりと彼の体を包み込み、ぼよん、と地面に落下した。

僅かに転がった水のボールはぱしゃんと破れ、ヴァンガードは傷一つ負うことなく着地に成功した。

「ありがとうございます」

言いながらヴァンガードは立ち上がったが、牧草地の柔らかい地面にヒールが突き刺さり、よろりとよろけた。

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