Faylay~しあわせの魔法
草の上に手を置き、弾むようにその場から離れる。
腕のすぐ脇を重い風が通り過ぎ、ズズン、と地面が大きく揺れた。爆風とはまた違う、チクチクと突き刺さるような斬撃の残骸が暴風とともにフェイレイを襲う。
大きく身体を仰け反らせ、くるりと一回転して地面に着地する。
そこへまたカラフルボールが、かわいらしい音を立てながらやってくる。……この繰り返しだった。
「くっそー、アイツ、どんな仕掛けだ!」
剣で斬ろうとしても、その軌跡の先からぱっくりと割れ、まったくダメージを与えることが出来ない。
そちらに気を取られていると、背後から物凄い斬撃が飛んでくる。
大男から繰り出される一撃は、かわせなければそこで終わりだ。地面を深く抉り取るそれは、生身の人間の受けられる威力ではなかった。
その重い一撃を、まるで短剣でも振り回すがごとく、軽々と振り下ろす。
隙を見て懐にでも入れれば良いのだが、それを道化師が許さない。見事な連携プレーだった。
「お前、速い」
大男は厳つい顔に嬉しそうに笑みを浮かべ、斧を握りなおした。
その瞬間。
斧が目に見えぬ速さで動き始めた。
「連撃……斧で!?」
普通、斧は一撃必殺の武器だ。このように振り回して相手を翻弄するのは、剣の類でやるものなのに。
剣と斧、獲物の質量が違いすぎるため、受けることは叶わず、全て避けるしかない。
その刃をすべて避けることは、フェイレイには容易いことだ。しかし、触れずとも肉まで断ち切ることの出来る斬撃だ。
白いシャツは切り刻まれ、血飛沫が上がった。
腕のすぐ脇を重い風が通り過ぎ、ズズン、と地面が大きく揺れた。爆風とはまた違う、チクチクと突き刺さるような斬撃の残骸が暴風とともにフェイレイを襲う。
大きく身体を仰け反らせ、くるりと一回転して地面に着地する。
そこへまたカラフルボールが、かわいらしい音を立てながらやってくる。……この繰り返しだった。
「くっそー、アイツ、どんな仕掛けだ!」
剣で斬ろうとしても、その軌跡の先からぱっくりと割れ、まったくダメージを与えることが出来ない。
そちらに気を取られていると、背後から物凄い斬撃が飛んでくる。
大男から繰り出される一撃は、かわせなければそこで終わりだ。地面を深く抉り取るそれは、生身の人間の受けられる威力ではなかった。
その重い一撃を、まるで短剣でも振り回すがごとく、軽々と振り下ろす。
隙を見て懐にでも入れれば良いのだが、それを道化師が許さない。見事な連携プレーだった。
「お前、速い」
大男は厳つい顔に嬉しそうに笑みを浮かべ、斧を握りなおした。
その瞬間。
斧が目に見えぬ速さで動き始めた。
「連撃……斧で!?」
普通、斧は一撃必殺の武器だ。このように振り回して相手を翻弄するのは、剣の類でやるものなのに。
剣と斧、獲物の質量が違いすぎるため、受けることは叶わず、全て避けるしかない。
その刃をすべて避けることは、フェイレイには容易いことだ。しかし、触れずとも肉まで断ち切ることの出来る斬撃だ。
白いシャツは切り刻まれ、血飛沫が上がった。