Faylay~しあわせの魔法
崩れていく地面から飛び退ると、大男が斧を担いで突進してきた。
「お前、俺の獲物!」
大男の低い声は一瞬のうちに近づき、フェイレイに向かって斧が振り下ろされた。
それを避けようとして──別の影が間に割り込んできた。
ふわり、と花のような良い香りが鼻腔をくすぐる。
「情けない」
割り込んできた人物──ローズマリーは、斧を振り下ろそうとしている大男の腕を下から掴み、動きを止めた。
「うらあっ!」
そして拳を大男の腹にめり込ませる。黒い鎧にビキビキと亀裂が走った。
大男はヨロヨロと後退していく。
「好きな子に護られてどうするのです」
ピンクブロンドの巻き毛を後ろに流し、ローズマリーはフェイレイを振り返った。
「すみません」
「まあいいですわ。あの大きいの、私が引き受けます。アライエルギルドからの応援は期待出来そうにありませんからね」
と、ローズマリーは大男に向かって走り出した。
「邪魔、入った?」
「王都が魔族に攻められているらしいですわ」
ローズマリーはフェイレイにそう伝えると、大男を追い縋り、先程拳を撃ち込んだところと寸分違わぬ位置に、更に拳をめり込ませた。
ビキビキと更に亀裂は広がり、黒い鎧はあっという間に粉砕されてしまった。
しかし、その下から現れたのは──鉱石の結晶が固まって出来たような、鈍く輝く金剛の身体だった。
「お前、俺の獲物!」
大男の低い声は一瞬のうちに近づき、フェイレイに向かって斧が振り下ろされた。
それを避けようとして──別の影が間に割り込んできた。
ふわり、と花のような良い香りが鼻腔をくすぐる。
「情けない」
割り込んできた人物──ローズマリーは、斧を振り下ろそうとしている大男の腕を下から掴み、動きを止めた。
「うらあっ!」
そして拳を大男の腹にめり込ませる。黒い鎧にビキビキと亀裂が走った。
大男はヨロヨロと後退していく。
「好きな子に護られてどうするのです」
ピンクブロンドの巻き毛を後ろに流し、ローズマリーはフェイレイを振り返った。
「すみません」
「まあいいですわ。あの大きいの、私が引き受けます。アライエルギルドからの応援は期待出来そうにありませんからね」
と、ローズマリーは大男に向かって走り出した。
「邪魔、入った?」
「王都が魔族に攻められているらしいですわ」
ローズマリーはフェイレイにそう伝えると、大男を追い縋り、先程拳を撃ち込んだところと寸分違わぬ位置に、更に拳をめり込ませた。
ビキビキと更に亀裂は広がり、黒い鎧はあっという間に粉砕されてしまった。
しかし、その下から現れたのは──鉱石の結晶が固まって出来たような、鈍く輝く金剛の身体だった。