Faylay~しあわせの魔法
道化師の気配が完全に消え去ると、フェイレイの瞳から赤い濁りがすっと消え、元の澄んだ深海色の瞳へ戻った。
「……ん?」
何か自分の中で違和感がしたが、よく分からない。
今何をしたのかさえ、よく覚えていなかった。
「誰かを倒せって言われたような気が……」
頭を捻ってもよく分からないので、まずは戦闘の続いている牧草地帯に視線を走らせた。
「ローズさん、平気?」
どう、と気の渦の立ち上がる方向へ目をやる。
『すぐ終わらせる』
そう早口に声が返った。
その通り、大男の気配も大分弱まっていた。ローズマリーもかなり負傷している気配がしたが、彼女は大丈夫だ。
フェイレイは業火の巻き上がる方向へ足を向けた。
ティナの女王の炎と女の巻き起こす竜巻がぶつかりあって、空高く巨大な火柱が上がっている。
均衡を保っているように見えていたそれは、一瞬揺らめいた後、一気に崩れだした。
どちらかの力が弱まったのだ。
「リディル!」
フェイレイは叫びながら、想い人のもとへ一直線に駆け抜ける。
ヴァンガードと挟み撃ちにして、一度は優位に立ったリディルたちであったが、女の執念は凄まじく、後方のヴァンガードが弾き飛ばされたのを機に、徐々に押し返されてきてしまった。
彼女のスピードが速すぎて、ティナの女王でも対処しきれないのだ。
「ごめんね、私が遅いから……」
ぶわ、と風に煽られた炎がリディルの髪を巻き上げる。
「……ん?」
何か自分の中で違和感がしたが、よく分からない。
今何をしたのかさえ、よく覚えていなかった。
「誰かを倒せって言われたような気が……」
頭を捻ってもよく分からないので、まずは戦闘の続いている牧草地帯に視線を走らせた。
「ローズさん、平気?」
どう、と気の渦の立ち上がる方向へ目をやる。
『すぐ終わらせる』
そう早口に声が返った。
その通り、大男の気配も大分弱まっていた。ローズマリーもかなり負傷している気配がしたが、彼女は大丈夫だ。
フェイレイは業火の巻き上がる方向へ足を向けた。
ティナの女王の炎と女の巻き起こす竜巻がぶつかりあって、空高く巨大な火柱が上がっている。
均衡を保っているように見えていたそれは、一瞬揺らめいた後、一気に崩れだした。
どちらかの力が弱まったのだ。
「リディル!」
フェイレイは叫びながら、想い人のもとへ一直線に駆け抜ける。
ヴァンガードと挟み撃ちにして、一度は優位に立ったリディルたちであったが、女の執念は凄まじく、後方のヴァンガードが弾き飛ばされたのを機に、徐々に押し返されてきてしまった。
彼女のスピードが速すぎて、ティナの女王でも対処しきれないのだ。
「ごめんね、私が遅いから……」
ぶわ、と風に煽られた炎がリディルの髪を巻き上げる。