Faylay~しあわせの魔法
淡い緑色の光を見ながら、フェイレイたちに合流した仲間たち。

ヴァンガードはすぐにリディルに頭を下げながら謝り、ローズマリーはフェイレイの顔を見るなりコロコロと笑い出した。

「……え、何?」

笑われたフェイレイは首を傾げる。

「あはははは、いえ、ごめんなさい。貴方って本当に面白いわ」

「え?」

「完全に操られていたのでしょう? なのに……あっはははは、いや、駄目、お腹痛い」

腹を抱えて笑い続けるローズマリーに、フェイレイは首を傾げたまま眉を顰める。

「フェイ……幻術士の“目”を正面から見たの?」

「何やってるんですか、貴方。そういう類の魔族の目は見ちゃいけないって、ちゃんと習いましたよ?」

リディル、ヴァンガードからはそう責められる。

「そうね、今度からは気をつけなさい。でも」

ローズマリーは笑いを堪えながら、フェイレイの耳元に唇を近づけた。

「そこまでリディルのことが好きなら、もう告白してしまいなさい」

「……え!?」

「私に勝ったらそうするっていう、約束でしたわね」

フェイレイから顔を離したローズマリーは、悪戯っぽい笑みを向ける。

「真正面から術をかけられてもなお、大切な者を見失わない。そんなこと、私にだって無理ですわー」

ヒラヒラと手を振りながら歩き出すローズマリー。それでヴァンガードもリディルも、大体の状況は掴めた。

「成る程、リディルさんの幻影を見せられて、それで本物は百万倍もかわいいとか叫んでたんですか。……凄いですね」

ヴァンガードの言葉にも、フェイレイは状況を呑み込めない。

道化師との戦闘の最後を、フェイレイはあまり覚えていなかった。いつの間にか倒してしまった、という認識だ。だから自分で何を叫んでいたのかも覚えていないのだ。

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