Faylay~しあわせの魔法
リディルを抱きしめながら、窓際へ移動しているランスロットへ視線をやると、彼は静かに頷いた。

「君達の出会いはきっと、偶然ではない。君達自身が引き寄せあったんだ」

あの嵐の日に。

互いの中に眠る血の宿命に従い、求め合い、手を伸ばして手繰り寄せた。そうやって出合ったのだ。


今度こそ。

今度こそ──護りたい。


ランスロットの想いが、フェイレイの中を駆け巡った。


「リディル」

フェイレイはリディルを離すと、彼女の左手の小指を自分の右手の小指と絡めた。そして、首から下げている同じ銀の指輪を、服の上から握り締めた。

「ずっと俺の傍にいて。俺から離れないで」

リディルは少しだけ戸惑いながらも、小さく頷いた。

「私……離れたりしないよ。ずっと、傍にいるよ」

「うん」

額をこつ、と合わせて、繋がれた小指を解きながらすべての指を絡めあう。

「リディル──」

額を離し、唇を重ねる。

幼い頃からの想いと、これからもずっと護っていくという、誓いを乗せて。




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