Faylay~しあわせの魔法
結局3人は一緒に応接室へ戻った。ローズマリーは何故か気落ちしていたようだけれど。
「休んでいるところをすまないな」
後ろに侍女を従えたイライザ姫は、青いビロード張りの椅子にゆったりと腰掛け、フェイレイたちを待っていた。
「待たせてすみません」
「いや、いい。第五王女ともなると、案外気楽で暇なものなのだ」
この国には王子はなく、イライザ姫は五人姉妹の末っ子なのだそうだ。だから勝手に城を抜け出し、シルヴァに成りすまして歩くなどということが出来たのかもしれない。
姫に座るように促され、それぞれ椅子に腰掛けると、侍女たちがお茶を運んできてくれた。
それに軽く頭を下げていると、イライザ姫は少しばかり難しい顔で話し出した。
「実はな。姉上たちにお前が勇者の末裔であると話したら……是非会いたいと申されて。今夜、晩餐会を開くことになったのだが、そこに出席してもらいたい」
「晩餐会?」
「そんなに大袈裟なものにはしない。姉上や、叔父上たち……王族だけの会食だ。この国に『勇者』が戻ってきたことをアピールすることで国民に安心感を与え、兵の士気も高めたいとのことなのだ。魔族の蹴撃で、皆不安がっておるのでな」
それならば大して問題にはならなそうだと、フェイレイは頷いた。
「うん、分かった」
「良いのか? それなら良かった。疲れているところをすまないな」
イライザ姫はほっとしたような顔になり、よろしく頼む、と言って応接室を出て行った。
その後しばらくして、数人の侍女たちが応接室で休んでいた4人のもとを訪れ、晩餐会に必要な衣装や小物などの入った箱を、ドサドサと積み重ねていった。
「休んでいるところをすまないな」
後ろに侍女を従えたイライザ姫は、青いビロード張りの椅子にゆったりと腰掛け、フェイレイたちを待っていた。
「待たせてすみません」
「いや、いい。第五王女ともなると、案外気楽で暇なものなのだ」
この国には王子はなく、イライザ姫は五人姉妹の末っ子なのだそうだ。だから勝手に城を抜け出し、シルヴァに成りすまして歩くなどということが出来たのかもしれない。
姫に座るように促され、それぞれ椅子に腰掛けると、侍女たちがお茶を運んできてくれた。
それに軽く頭を下げていると、イライザ姫は少しばかり難しい顔で話し出した。
「実はな。姉上たちにお前が勇者の末裔であると話したら……是非会いたいと申されて。今夜、晩餐会を開くことになったのだが、そこに出席してもらいたい」
「晩餐会?」
「そんなに大袈裟なものにはしない。姉上や、叔父上たち……王族だけの会食だ。この国に『勇者』が戻ってきたことをアピールすることで国民に安心感を与え、兵の士気も高めたいとのことなのだ。魔族の蹴撃で、皆不安がっておるのでな」
それならば大して問題にはならなそうだと、フェイレイは頷いた。
「うん、分かった」
「良いのか? それなら良かった。疲れているところをすまないな」
イライザ姫はほっとしたような顔になり、よろしく頼む、と言って応接室を出て行った。
その後しばらくして、数人の侍女たちが応接室で休んでいた4人のもとを訪れ、晩餐会に必要な衣装や小物などの入った箱を、ドサドサと積み重ねていった。