Faylay~しあわせの魔法
山のように積まれた箱を、唖然として眺めるフェイレイとヴァンガード。
しかしローズマリーは目を輝かせた。リディルも、こっそりと。
「王族の晩餐会ですものね。気合いを入れて着飾れということですね」
ウキウキと手を組みながらローズマリーが言うと、箱を運んできた侍女たちが頷いた。
「もちろんでございます。我が国の英雄、『勇者』様のご帰還ですから、私どもも精一杯お手伝いをさせていただきます」
と、フェイレイとヴァンガードそれぞれに2人ずつ侍女がつき、衣装を準備し始める。
「あの……自分で着替えます」
侍女たちに声をかけると、眼鏡をかけた年長の侍女が、キラリと目を光らせた。
「いいえ、貴方様がたは国賓となっておりますので、私どもがお世話をいたします」
「……そうですか」
眼鏡を押し上げながらそう言う侍女の顔は有無を言わせぬ迫力があり、フェイレイは大人しくしていることにした。
「何だか大事になってきたな」
近くで同じようにひん剥かれて着替えさせられているヴァンガードと目が合い、苦笑しあう。
いつの間にかリディルとローズマリーの姿は消えていた。恐らく奥の部屋へ連れて行かれ、同じように着付けられているのだろう。
リディルのドレス姿、かわいいのだろうな──なんて考えているうちに髪をとかされ、整えられて着替えは終了した。
「お支度が整いました。時間になりましたら、またお迎えに上がります」
侍女たちはすっと頭を下げると、ゾロゾロと部屋を出て行き、扉が閉められた。
直後、きゃああああと甲高い悲鳴が上がり、フェイレイとヴァンガードはビクリと肩を跳ね上げた。
何だ何だと思っていると、「勇者様、素敵ー!」という黄色い声と、「姫様付きの侍女が、なんとはしたない!」と叱り付けるような声も響いて、女性たちの声はあっという間に遠ざかっていった。
しかしローズマリーは目を輝かせた。リディルも、こっそりと。
「王族の晩餐会ですものね。気合いを入れて着飾れということですね」
ウキウキと手を組みながらローズマリーが言うと、箱を運んできた侍女たちが頷いた。
「もちろんでございます。我が国の英雄、『勇者』様のご帰還ですから、私どもも精一杯お手伝いをさせていただきます」
と、フェイレイとヴァンガードそれぞれに2人ずつ侍女がつき、衣装を準備し始める。
「あの……自分で着替えます」
侍女たちに声をかけると、眼鏡をかけた年長の侍女が、キラリと目を光らせた。
「いいえ、貴方様がたは国賓となっておりますので、私どもがお世話をいたします」
「……そうですか」
眼鏡を押し上げながらそう言う侍女の顔は有無を言わせぬ迫力があり、フェイレイは大人しくしていることにした。
「何だか大事になってきたな」
近くで同じようにひん剥かれて着替えさせられているヴァンガードと目が合い、苦笑しあう。
いつの間にかリディルとローズマリーの姿は消えていた。恐らく奥の部屋へ連れて行かれ、同じように着付けられているのだろう。
リディルのドレス姿、かわいいのだろうな──なんて考えているうちに髪をとかされ、整えられて着替えは終了した。
「お支度が整いました。時間になりましたら、またお迎えに上がります」
侍女たちはすっと頭を下げると、ゾロゾロと部屋を出て行き、扉が閉められた。
直後、きゃああああと甲高い悲鳴が上がり、フェイレイとヴァンガードはビクリと肩を跳ね上げた。
何だ何だと思っていると、「勇者様、素敵ー!」という黄色い声と、「姫様付きの侍女が、なんとはしたない!」と叱り付けるような声も響いて、女性たちの声はあっという間に遠ざかっていった。