Faylay~しあわせの魔法
「……見た目がどうでも、この国の人達にとっての『勇者』は凄い存在だということですか」
「ああ、そっか、そうだよな。俺でさえ勇者は憧れの存在で──って、見た目がどうでもって!」
「まあ、割と見れるようにはなりましたよ」
優雅に微笑むヴァンガードは、どこぞの王子様のように気品に満ち溢れている。
この国の騎士団長であったという『勇者』の末裔だからなのか、フェイレイもヴァンガードも、この国の騎士団の正装をさせられていた。
高い衿に金のボタン、白を基調とした上下の服に、アライエルの紋章──グリフィン──が金で刺繍された、濃紺のマントを右側に纏っている。
「僕たちはアライエル人でもないのに、こんな恰好……いいように使われているような気もしないでもないですが」
溜息をつきながらも、ヴァンガードは少し楽しそうだった。
「なんか楽しそうだな?」
「えっ? ……いえ、そんなことはありませんよ。むしろ気が重いといいますか……いくら王族だけの晩餐会とはいえ、大勢の前に出るということは、リディルさんやローズさんのことが軍に伝わる可能性がありますからね」
「……そうか!」
すっかりそのことを失念していたフェイレイは、マズいことをしてしまったと後悔した。
「……やっぱり。すっかり忘れていると思いましたよ、あんなに即決して……」
ヴァンガードは重く溜息をついた。
「でも、イライザ姫は厳戒態勢を取ると仰っていましたしね。大丈夫だとは思いますが……」
「そうなの?」
「貴方をリディルさんやローズさんが呼びに行っている間に、少しお話を伺ったんです」
さすが皇族の護衛官を務めると豪語するだけのことはある。ヴァンガードは抜け目がなかった。
「ああ、そっか、そうだよな。俺でさえ勇者は憧れの存在で──って、見た目がどうでもって!」
「まあ、割と見れるようにはなりましたよ」
優雅に微笑むヴァンガードは、どこぞの王子様のように気品に満ち溢れている。
この国の騎士団長であったという『勇者』の末裔だからなのか、フェイレイもヴァンガードも、この国の騎士団の正装をさせられていた。
高い衿に金のボタン、白を基調とした上下の服に、アライエルの紋章──グリフィン──が金で刺繍された、濃紺のマントを右側に纏っている。
「僕たちはアライエル人でもないのに、こんな恰好……いいように使われているような気もしないでもないですが」
溜息をつきながらも、ヴァンガードは少し楽しそうだった。
「なんか楽しそうだな?」
「えっ? ……いえ、そんなことはありませんよ。むしろ気が重いといいますか……いくら王族だけの晩餐会とはいえ、大勢の前に出るということは、リディルさんやローズさんのことが軍に伝わる可能性がありますからね」
「……そうか!」
すっかりそのことを失念していたフェイレイは、マズいことをしてしまったと後悔した。
「……やっぱり。すっかり忘れていると思いましたよ、あんなに即決して……」
ヴァンガードは重く溜息をついた。
「でも、イライザ姫は厳戒態勢を取ると仰っていましたしね。大丈夫だとは思いますが……」
「そうなの?」
「貴方をリディルさんやローズさんが呼びに行っている間に、少しお話を伺ったんです」
さすが皇族の護衛官を務めると豪語するだけのことはある。ヴァンガードは抜け目がなかった。