Faylay~しあわせの魔法
「僕も周りには注意しておきますが、いざというときは頼みます」

「おう」

王族の晩餐会に武器の持ち込みは出来ないだろうが、いざというときは身体を張ってでも護る。

その心構えは2人とも出来ていた。

「けど、楽しそうに見えるのは気のせい?」

フェイレイは首を傾げた。

ヴァンガードはしっかり自分の役割を果たし、気を引き締めてはいるのだが、やはりどこかそわそわと落ち着きがないようにも見えるのだ。

「え……いや、だから、そんなことありませんって」

なんて言いながら、少しだけ顔を赤くし、やはりそわそわと落ち着きがない。

「何だよー。何か楽しみなことでも? ……ああ、分かった!」

フェイレイの大声に、ヴァンガードはビクリと肩を震わせた。

「ご馳走が楽しみだとか!」

「……貴方じゃあるまいし」

「じゃあ何だよ?」

「なんでもありませんよ」

「そうかー? 俺は楽しみだぞ」

「……ご馳走が?」

「まあ、それも楽しみだけど。リディルがドレスを着るのかと思うと」

そこでヴァンガードがギクリとしたような顔になったのだが、フェイレイは気づかない。

「ドレス着たかったみたいだし、息抜きになればいいなーって、思ってさ」

ずっと過酷な旅が続いていたのだ。緊張を強いられる現場から一歩引いたところでくらい、骨休みしてもいいだろう。

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