Faylay~しあわせの魔法
壁に背を預け、口を掌で覆う。

あれは、どう受け止めたら良いのだろうか。

届けた想いに応えてもらったのだと、思ってもいいのだろうか。

「うーん」

「……どうしたんですか」

ヴァンガードの問いには答えず、フェイレイはそのまま黙り込んだ。

まったく動かなくなってしまったので、まさか寝てしまったのではないだろうかと危惧する頃、ようやく口元から手を離した。

「やっぱアレだな。ちゃんと言おう。そしてちゃんと返事をもらおう」

「告白でもするんですか」

「うん」

あっさりと返事をされ、ヴァンガードは一瞬言葉を詰まらせた後、軽く溜息をついた。

「頑張ってください」

「うん」

壁に寄りかかり、正面のドアを見つめながら答えるフェイレイを見て、ヴァンガードは静かに椅子に腰を下ろし、

「……覚悟するときが来たかなぁ」

苦笑しながら、そう呟いた。





侍女たちに連れられて廊下の向こうにある部屋に連れてこられたローズマリーは、次々に箱からドレスを出してはベッドの上に広げていた。

「赤もパッとして綺麗ですわよね。青や紺も素敵ですけれど、お姫様方がお召しになるかしらね?」

「姫様からは、何も気になさらず、お好きなものを選ぶようにと言付かっております」

侍女が恭しく頭を下げた。
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