Faylay~しあわせの魔法
「大丈夫ですわよ! 貴女にはフェイレイくんがいるでしょう。彼ならきっと、かわいいかわいいって大騒ぎして、抱きついてきますわよ」
とん、と背中を押され、リディルは歩き出す。
少しだけ振り返ると、ローズマリーが侍女たちに体調が悪いから休んでいますと伝えていて、残念がられていた。
ローズマリーなら、晩餐会の美しい華となるだろうに。
そのことを残念がっている自分に気づいて、リディルはああ、と思った。
記憶はなくても、彼女を慕っているのだ。
仲間としても、姉としても。
『大切な人にこそ、言葉で伝えなさい』
ローズマリーに言われた言葉が頭の中を駆け巡る。
「……ローズさん」
声をかけると、ローズマリーは微笑みながらリディルへ視線を向けた。
「……あの。貴女の家で、パーティを開けるようになったら、そのときは、私が……お化粧して、あげる」
小さな声で紡がれたその言葉を聞いて、ローズマリーは華が綻ぶように笑った。
「ありがとう。楽しみにしていますわ」
侍女たちと一緒に部屋を出て行くリディルの細い背中を見送って、ローズマリーは静かにベッドに座った。
先程のリディルの言葉は嬉しかった。
冗談にも聞こえそうな夢の話を、リディルはちゃんと聞いてくれていたのだ。
「貴方の妹姫は、本当に良い子だわ、カイン」
とん、と背中を押され、リディルは歩き出す。
少しだけ振り返ると、ローズマリーが侍女たちに体調が悪いから休んでいますと伝えていて、残念がられていた。
ローズマリーなら、晩餐会の美しい華となるだろうに。
そのことを残念がっている自分に気づいて、リディルはああ、と思った。
記憶はなくても、彼女を慕っているのだ。
仲間としても、姉としても。
『大切な人にこそ、言葉で伝えなさい』
ローズマリーに言われた言葉が頭の中を駆け巡る。
「……ローズさん」
声をかけると、ローズマリーは微笑みながらリディルへ視線を向けた。
「……あの。貴女の家で、パーティを開けるようになったら、そのときは、私が……お化粧して、あげる」
小さな声で紡がれたその言葉を聞いて、ローズマリーは華が綻ぶように笑った。
「ありがとう。楽しみにしていますわ」
侍女たちと一緒に部屋を出て行くリディルの細い背中を見送って、ローズマリーは静かにベッドに座った。
先程のリディルの言葉は嬉しかった。
冗談にも聞こえそうな夢の話を、リディルはちゃんと聞いてくれていたのだ。
「貴方の妹姫は、本当に良い子だわ、カイン」