Faylay~しあわせの魔法
パタリと仰向けに転がって、藍の天蓋を見上げる。
「どうしましょうか、ね……」
ローズマリーは迷っていた。
このまま愛しい人の妹を、傍で護り続けるか。
それとも、正体が明らかになった敵から、夫を救いに戻るべきか──。
「このことを、知っているの? アレク……」
目を閉じて短い黒髪に鋭い眼光を放つ幼馴染の姿を思い浮かべ、問いかけてみる。
だが、問わなくても答えは分かっている。
答えは、イエスだ。
「なんでいつも、言ってくれないの……!」
目を手の甲で覆い隠し、歯噛みする。
いつも大事なことには気づけない。
カインの異変も、アレクセイの異変も、気づけなかった。気づいてはいても何もしてやれなかったのだから、気づいていないのと同じなのだ。
「言われないと分かんないんだよ、お前の気持ちなんてっ……」
リディルに言った台詞は、本当は。
彼女の大切な人たちに、言ってやりたかった言葉──。
「どうしましょうか、ね……」
ローズマリーは迷っていた。
このまま愛しい人の妹を、傍で護り続けるか。
それとも、正体が明らかになった敵から、夫を救いに戻るべきか──。
「このことを、知っているの? アレク……」
目を閉じて短い黒髪に鋭い眼光を放つ幼馴染の姿を思い浮かべ、問いかけてみる。
だが、問わなくても答えは分かっている。
答えは、イエスだ。
「なんでいつも、言ってくれないの……!」
目を手の甲で覆い隠し、歯噛みする。
いつも大事なことには気づけない。
カインの異変も、アレクセイの異変も、気づけなかった。気づいてはいても何もしてやれなかったのだから、気づいていないのと同じなのだ。
「言われないと分かんないんだよ、お前の気持ちなんてっ……」
リディルに言った台詞は、本当は。
彼女の大切な人たちに、言ってやりたかった言葉──。