Faylay~しあわせの魔法
ああ、駄目だ。

彼女のことが、好きすぎる。

その溢れ出てくる想いのままに、口を開いた。

「リディル、俺と、結婚してください」


ぱちり、とリディルが瞬きをした。

周りの侍女たちも、その後ろにいたヴァンガードも、同じように瞬きをした。

一瞬の静けさに包まれる部屋の中の空気が、すうっと冷えたような感覚がして、自分の言った台詞の意味がさくっと脳に突き刺さった。

(え、ちょ、待て俺! なんか色々すっとばした──!!)

だってあまりにも愛らしくて。

白いドレスがウェディングドレスのようで。

ちょっと間違えてしまった。

(いきなり結婚はないだろ! まずは清いお付き合いからあああ~!)

目を白黒させながら何か言い訳を、と考えるのだが、結婚したいという気持ちに嘘はないわけで、どうしたものかと頭を抱えていると。

「はい」

小さい声だけれどはっきりと、そう返事があった。

「……え?」

聞き返すと、リディルは居心地悪そうに、視線を逸らした。

「だから……いいよ」

「はい?」

「だから……」

リディルは白いグローブを嵌めた両手を伸ばし、フェイレイの顔を挟み込んだ。そして怒ったような、困ったような顔で、呟いた。

「……好きだよ」

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