Faylay~しあわせの魔法
目を丸くしたままジッと見つめてくるフェイレイに、リディルはだんだん恥ずかしくなってきた。

でも、頑張ると決めたから。

恥ずかしさから逃れるためにギュッと目を閉じると、そのままフェイレイの首に手を回して抱きついた。

フェイレイはそれを受け止めて、背中に手を回す。

彼の中にある戸惑いは徐々に解れていき、リディルを強く抱きしめて、顔を綻ばせた。

「ありがとう、俺も好き!」

想いを伝えたら、全身から嬉しさが滲み出てきて、リディルを抱き上げるとそのままグルグルと回りだした。

「フェ、フェイ!」

すぐ傍から上がる非難の声に、フェイレイは回るのをやめ、リディルを床に下ろしてやった。

そして改めて向き直ると、笑みを湛えたままもう一度言った。

「俺と、結婚してくれますか」

一瞬の間を置いて、リディルも微かに笑みを浮かべる。

「はい」

そう返事をした途端、周りから割れんばかりの拍手喝采があがり、驚いて振り返る。

リディルの着付けを手伝ってくれた侍女ばかりでなく、大勢の侍女を従えたイライザ姫、そしてその騎士ユージンまでもが、笑顔で拍手を送っていた。

「え、な、なんでこんなに増えたの!?」

「時間だから迎えに来たのだ」

イライザ姫がしれっと答える。

「良いものを見せてもらった。なんなら、晩餐会ではなく、お前たちの結婚披露宴にしてやろうか」

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