Faylay~しあわせの魔法
翌朝、フェイレイとリディルの結婚の話を聞いたローズマリーは、顔を輝かせてリディルを抱きしめた。

「おめでとう」

自分のことのように喜んでくれるローズマリーに、リディルも微笑みを浮かべる。

「ありがとう」

彼女は本当によく笑うようになった。

そのことに気づいて更に笑顔になったローズマリーは、リディルの頭を優しく撫でるとフェイレイを振り返った。

「これからもしっかりリディルを護るのですよ」

「うん」

フェイレイはしっかりと頷く。

「ヴァンくん──」

ヴァンガードへは少し憂いを含んだ目を向ける。だが、彼は軽く笑った。

「僕もしっかり、護らせていただきます」

どこか吹っ切れたような爽やかな笑顔に、ローズマリーも微笑みながら頷く。

リディルから離れ、ヴァンガードに歩み寄ったローズマリーは、ぎゅうっと彼を抱きしめた。

「辛くなったらいつでもお言いなさい。私が慰めて差し上げますわ」

「うわわわ、僕はまだ、貴女にも惑星王にも殺されたくありません!」

豊満な胸に顔を挟まれ、真っ赤になりながらヴァンガードは叫んだ。

フェイレイとリディルは、彼らの会話の意味を理解しないままに笑う。

昨晩の晩餐会の余韻を残した朝、外の天気こそどしゃぶりの大雨だったが、4人はキラキラと眩しいほどの笑顔に包まれていた。

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