Faylay~しあわせの魔法
しかし、不安の種はいくつもある。

離宮の食堂で朝食を食べた後、4人だけになった応接室で今後のことを話し合った。

「私ね、皇都に戻ろうかと思っているの」

ローズマリーが、そう言いだした。

「私はカインが何を考えているのか、何をしようとしているのか、それを知りたくてリディルを護っていたのだけれど……あの人に魔王が取り憑いていると分かった今、助けに戻るべきではないかと思って。リディルには、フェイレイくんとヴァンくんがついていますしね。貴方達がいれば大丈夫でしょう」

「……ローズさんは一人で、大丈夫なの?」

一番先にローズマリーを心配する声をあげたのはリディルだった。

「海を渡るのは、船長さんたちに力を貸していただこうかと思っています。皇都に行けば、アレクセイもいますし……彼は何か考えがあってあそこに残っているはずだもの。彼に声をかけてみます」

「あの騎士か……」

フェイレイは眉を顰める。

アレクセイの強さはフェイレイもよく分かってはいたが、それでも魔王がいると分かっているところに、仲間を快く送り出すというわけにはいかなかった。

それに、フェイレイはアレクセイをあまり良くは思っていない。

ローズマリーにとっては心の許せる幼馴染だろうが、彼はリディルを連れ去ろうとし、セルティアを戦火に巻き込んだ男なのだ。

「アレクセイは、魔王に操られてるってことはないの? あの人、星府軍のトップとして国を滅ぼしてるんだぞ」

「……それは、分かりません」

ローズマリーは首を横に振った。

「でも、そうなのだとしたら、カインと一緒に魔王の手から救出しなければなりません」

< 522 / 798 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop