Faylay~しあわせの魔法
「それなら、私も行く」

リディルの言葉に、ローズマリーとヴァンガードが首を振った。

「それはいけませんわ」

「駄目ですよ!」

「でも、すべての元凶がいなくなれば、みんなを危険に巻き込むことも、世界が魔族に溢れ返ることもなくなる。だから……」

リディルはフェイレイに視線をやった。

それにつられるように、ローズマリーとヴァンガードもフェイレイを見る。

フェイレイはジッと黙考していた。

「話すのかい?」

そっと、耳元でランスロットの声がする。今、彼の姿は見当たらないが、『勇者の力』として存在している彼は、常にフェイレイの傍にいるようだ。

「……うん」

小さく頷いて、フェイレイは顔を上げた。

全員の顔をゆっくりと見渡し、ランスロットから聞いた話、すべてを話した。

ここに『勇者』がいること、魔王と精霊王がこの千年の間不在であったこと、そして何故か魔王だけが復活し、惑星王を乗っ取り、千年前と同じく世界を滅ぼそうとしていること。

そして、そのために『ティターニア』を手に入れようとしていること──。

「……リディルがティターニアだと言うのですか?」

ローズマリーが信じられない、というように眉を顰めた。

「でも……ああ、そうか」

ヴァンガードが合点がいったように呟いた。

「それが本当なら、だから今まで星府軍の手が甘かったのかもしれませんね……傷つけられない相手だから……」

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