Faylay~しあわせの魔法
フェイレイが目を見開いていると、視点がどんどん変わっていった。

ガタガタと画面を揺らしながら、薄暗い家の中から外へ。街道を通って森の中へ。

その間見かけた人々は皆、怯えたような顔で悲鳴を上げているようだった。

一体何が起きたのか、理解することなく場面は進む。

薄暗い森の中、坂道をずっと進んでいくと、高い崖の上に出た。そこからずっと下に流れる川がしばらく映し出されてた後──。

あっという間に眼前に川面が迫ってきた。そしてプツリと映像は途切れた。


ザザ、ジジ、とスクリーンが揺れる。

また何かが映し出された。

白くて丸い……満月だ。

その満月がユラユラと揺らめいた後、美しい女性の顔が映し出された。

サラサラの長い髪に、尖った耳をした女性は、穏やかな微笑みを湛えている。

そして何か語りかけているようだ。こちらを見たり、空を見上げたりしながら、女性は語り続ける。

そして。

白黒だった世界がだんだんと色づいていく。

真っ黒が深い緑色に。

空は紺色に。

そして女性の髪は翡翠色に。

「貴方はその力で、きっと人を護れるわ、ランスロット」

涼やかに響いたその声に、また画面が揺らめいた。

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