Faylay~しあわせの魔法
以前乗せてもらったときよりも、少しだけテーブルや椅子の位置が乱雑になっている食堂に着くと、数人の海賊たちに混じりローズマリーが食事をしていた。

「あらフェイレイくん! 良かった、目が覚めたのね」

ローズマリーの声に、周りの海賊たちもフェイレイに笑顔を向ける。

それに笑みを返し、ヴァンガードとともにローズマリーのいるテーブルに座った。

「今の状況は見たかしら?」

「チラッと」

嵐の中を突き進む大型海賊船、その甲板の上で魔族と戦う海賊たち、そして近くを併走するアライエル海軍の戦艦を見たことを話す。

「そう、まずは天候よ。やっぱり精霊が姿を消しているらしいの。全世界の精霊士たちが召喚することが出来なくなっているわ」

「10年前の天変地異が始まったと、気づいている人もいるようです」

ローズマリーに続き、ヴァンガードがそう付け足す。

その話を聞いているうちに、スープとパンが運ばれてきた。

「まずはこれだけ食って、もっとイケそうなら言え。急に食うと胃がビックリするからな」

白いエプロンをつけたコックはそう言うと、また厨房へ戻っていった。フェイレイはありがたくそれをいただく。

「それから魔族ね。四大陸のうち、南、西、そして東はそれぞれ大国を壊滅状態に追い込まれているわ」

ローズマリーの言葉に、フェイレイもヴァンガードも、重く沈黙する。

東の大陸一の大国、セルティア。

アレクセイ率いる星府軍に攻撃を受けた後、魔族によって壊滅状態に陥ったという、フェイレイたちの故郷。西と南の大国も、それと同じ状況なのだ。

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