Faylay~しあわせの魔法
「……ということは、星府軍もそうなってるかもしれないな」

フェイレイも2人と同じく、淡々とその事実を受け入れた。

リディルが万物の力を持つティターニアだと聞いているので、何が起きても不思議ではないという心構えが出来ているのだ。

「そうね。そうだといいわね……」

ローズマリーは憂いの表情を見せた後、チッと舌打ちをした。

「今度会ったら殴り倒して差し上げますわ。訳の分からないことばかり言いやがってあの野郎」

彼女の拳がバキバキと鳴る。

語尾が多少人格が変わっていたが、フェイレイもヴァンガードも黙認した。

「リディルはティターニアの力を発動し、兵器を前線から退けたのか。……そして、魔王に連れて行かれた」

「すみません」

膝の上でギュッと拳を握り締め、ヴァンガードは謝る。

「僕がついていたのに……」

テーブルに額を擦り付けそうな彼の頭に、フェイレイはそっと手を置く。

「お前のせいじゃないよ。俺も、護れなかった」

そして逆に護られた。

一体何をやっているのだと、情けなくなる。

「だからこうして今、皇都に向かっているのですわよ。2人とも顔を上げなさい」

俯いている2人に、ローズマリーが凛とした声で語りかける。

「幸か不幸か、貴方のおかげで全世界が動き出しました。同盟国が世界連合軍を創設し、星府軍との全面対決に出ます。東西南北、それぞれの大陸から今、一斉に皇都へ向けて進軍中です」

「……なんでそんなことに」

「貴方のせいですわよ。貴方が空から降ってくるから」

「ええ?」

フェイレイは眉を顰めた。

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