Faylay~しあわせの魔法
星府軍の横行と魔族の増加が人々の不安を掻き立てていたところに、いきなり巨大戦艦が現れ、街が攻撃を受けるというときの出来事。

兵器の消え去った真っ白な空から人が降りてくる。

それは人々にとって、まさに奇跡の出来事だった。

「それはリディルの力で……」

「人々にとって、惑星を治める皇家の人間は、神にも等しい存在です。その皇女に護れられたということは、それこそ神の加護を受けているも同然なのです。今や世界の敵となった星府軍元帥のもとから、神にも等しい皇女殿下に護られて無事に戻ってきた貴方こそ、世界が認める『勇者』なのですわ」

「……アレクセイ?」

「そうです。あの馬鹿は、何故だかあのような馬鹿馬鹿しい宣言をしましたので、世界に敵としてみなされたのです」

「そして魔王に操られている元帥を倒し、攫われた皇女殿下と、捕らわれている惑星王を救出することが、今回の作戦の最終目的です」

ローズマリーに続くヴァンガードの言葉に、フェイレイは眉を顰めた。

「それって……つまり、アレクセイがそうなるように仕向けた……んじゃないのか?」

「知りませんわ」

ローズマリーは素っ気無く言う。

そして立ち上がると、ヴァンガードの肩に手を置いた。

「交代しますわね。ヴァンくんはフェイレイくんと一緒に休んでいなさい」

「はい。ローズさん、お気をつけて。波に攫われませんよう」

「ええ、ありがとう」

その姿を見送り、ヴァンガードは溜息をついた。

「ローズさん、お辛いでしょうね。惑星王の立場は護られることになりますけど、幼馴染なんですよね、アレクセイさんは……」

「……うん」

確かにうまくいけば惑星王も、皇家も護ることは出来る。しかしそれではアレクセイは……。

連合軍に、討たれることになる。

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