Faylay~しあわせの魔法
「それでも……争うのは、駄目。傷つけあうだけだよ……」
「……お前は優しすぎるんだ」
魔王はスッと起き上がると、立ち上がってアレクセイへ目を向けた。
「手は抜くな。徹底的に追い詰めろ」
「はい」
そう返事をしながら、アレクセイはもう自分に軍を動かす力はないと感じていた。
アライエル侵攻のときに宣言したことで、彼の信頼は失われつつあった。
そのことを魔王に報告すれば、アレクセイも兵士たちも用済みだと言って切り捨てられるだろうか。
現状を知られるのが先か、それともフェイレイがここへ来るのが先か。
アレクセイはそれを推し量りながら、魔王とリディルの関係を静かに見つめていた。
ここ数ヶ月、カインは陽の光を浴びられなくなっていた。
その原因はずっと不明だったが、今になってそれは魔王が光を嫌っていたためだと分かる。
だからあの真っ暗な玉座の間から出ることが出来なかった。
なのに今、また。
彼は徐々に光の中へ踏み込み始めている。
何故なのか──そう問いかけながら、魔王とリディルを見つめていた。
立ち込める暗雲から降り注ぐ雨を、愉しげに窓ごしに見上げる魔王のもとへ、リディルはゆっくりと近づいていき、彼を見上げた。
そしてまた「争いは駄目だ」と、静かに、しかし根気強く訴え続けている。
「……お前は優しすぎるんだ」
魔王はスッと起き上がると、立ち上がってアレクセイへ目を向けた。
「手は抜くな。徹底的に追い詰めろ」
「はい」
そう返事をしながら、アレクセイはもう自分に軍を動かす力はないと感じていた。
アライエル侵攻のときに宣言したことで、彼の信頼は失われつつあった。
そのことを魔王に報告すれば、アレクセイも兵士たちも用済みだと言って切り捨てられるだろうか。
現状を知られるのが先か、それともフェイレイがここへ来るのが先か。
アレクセイはそれを推し量りながら、魔王とリディルの関係を静かに見つめていた。
ここ数ヶ月、カインは陽の光を浴びられなくなっていた。
その原因はずっと不明だったが、今になってそれは魔王が光を嫌っていたためだと分かる。
だからあの真っ暗な玉座の間から出ることが出来なかった。
なのに今、また。
彼は徐々に光の中へ踏み込み始めている。
何故なのか──そう問いかけながら、魔王とリディルを見つめていた。
立ち込める暗雲から降り注ぐ雨を、愉しげに窓ごしに見上げる魔王のもとへ、リディルはゆっくりと近づいていき、彼を見上げた。
そしてまた「争いは駄目だ」と、静かに、しかし根気強く訴え続けている。