Faylay~しあわせの魔法
「新船長! 休みなって!」
海賊たちの声に軽く手を振りながら入り口から出ると、そこでローズマリーと鉢合わせした。
「フェイレイくん! 貴方もう少し休んでいないと……」
美しいピンクブロンドの髪からポタポタと雫を垂らしている彼女も、今戦場から戻ったばかりなのだろう。
「ローズさん、お疲れ様」
そう声をかけて歩いていこうとするのを、ローズマリーは止める。
「お待ちなさい。上陸してからもまた魔族と戦うことになりますのよ。星府軍は連合軍が相手をするでしょうが……私たちは魔王も相手にしなければなりませんのよ。落ち着かないのは分かりますが、少しはお休みなさい」
「平気、平気」
フェイレイは微笑んでそこから立ち去ろうとする。
「……仕方ありませんわね」
無理にでも休んでもらいます、とローズマリーは拳を握り締めた。
フェイレイの鳩尾目掛けて思い切りそれを叩き付けようとすると。寸前でフェイレイの掌がそれを止めた。
ローズマリーは目を見開く。
「……リディルが待ってるから」
穏やかに微笑んでそう言いながら、ローズマリーの拳を静かに押し返す。
「大丈夫」
にっこり微笑んで、フェイレイは出て行った。
「成長の早い子だとは思っていたけど……」
まさか、もう越えられるなんて。
ローズマリーは驚きを隠せず、フェイレイの後姿が見えなくなるまでそこに佇んでいた。
海賊たちの声に軽く手を振りながら入り口から出ると、そこでローズマリーと鉢合わせした。
「フェイレイくん! 貴方もう少し休んでいないと……」
美しいピンクブロンドの髪からポタポタと雫を垂らしている彼女も、今戦場から戻ったばかりなのだろう。
「ローズさん、お疲れ様」
そう声をかけて歩いていこうとするのを、ローズマリーは止める。
「お待ちなさい。上陸してからもまた魔族と戦うことになりますのよ。星府軍は連合軍が相手をするでしょうが……私たちは魔王も相手にしなければなりませんのよ。落ち着かないのは分かりますが、少しはお休みなさい」
「平気、平気」
フェイレイは微笑んでそこから立ち去ろうとする。
「……仕方ありませんわね」
無理にでも休んでもらいます、とローズマリーは拳を握り締めた。
フェイレイの鳩尾目掛けて思い切りそれを叩き付けようとすると。寸前でフェイレイの掌がそれを止めた。
ローズマリーは目を見開く。
「……リディルが待ってるから」
穏やかに微笑んでそう言いながら、ローズマリーの拳を静かに押し返す。
「大丈夫」
にっこり微笑んで、フェイレイは出て行った。
「成長の早い子だとは思っていたけど……」
まさか、もう越えられるなんて。
ローズマリーは驚きを隠せず、フェイレイの後姿が見えなくなるまでそこに佇んでいた。