Faylay~しあわせの魔法
甲板に現れたフェイレイを見て、キャプテン・ブラッディは溜息をついた。

「お前さん、また倒れるぜぇ~?」

「大丈夫!」

そう言って甲板の上を走っていき、苦戦している海賊たちの援護につくフェイレイ。

それを見ながら、ブラッディも水棲魔族を叩き斬る。そこへ、食堂で休んでいた海賊たちも加わった。

「おめぇら、まだ休んでろって」

食堂へやった船員たちは、これから休息を取らせる班のはずだった。だが彼らは首を横に振る。

「船長が身体張ってんのに、俺らだけ休んでるわけにはいかねぇんですよ」

と、次々に魔族を倒していくフェイレイを見る。

「あんな子どもみてぇな顔してんのに、一丁前にオトコなんですよ、アイツ。……無事に行かせてやりてぇじゃねぇですか。愛しい嫁のところへよぅ」

「そうだよな!」

「ああ!」

ゴウゴウ唸る嵐の中、そこら中からフェイレイを応援する声が飛び交う。

「……分かった」

男たちの熱い想いに、ブラッディは頷いた。

「残りの砲弾、全部撃ち込め! 進路を確保したら一気に港へ突っ込むぞ!」

「アイサー、船長っ!」

俺たちが海で一番だと豪語する海賊たちは、ここから一気に攻めに転じる。

海の中に潜む巨大な水棲魔族を砲弾で吹き飛ばしつつ、船の上に襲い掛かってくる者達を剣で薙ぎ払いながら、港へと突っ込んでいった。


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