Faylay~しあわせの魔法
「みんな……!」
共に過ごした時間は短いというのに、自分たちのために命を賭して立ち向かっていく海賊たちに、フェイレイは歯噛みしながら魔族を切り裂く。
そこに、強大な力が突っ込んでくるのを感じ、飛び退いた。
ドン、と地面に穴を開けるほどの勢いで突っ込んできたのは、人型の魔族だ。
「お前かぁ? 猊下の大っ嫌いな『勇者』ってのはぁ」
大剣を肩に背負い、顔に斜めに傷を走らせた黒髪短髪の男が、フェイレイを見下ろしてニイ、と笑った。
その両脇に、パシャ、パシャ、と水音を響かせて人型の魔族が次々と降り立つ。
ざっと見渡して、10人はいる。剣を構えた者や、尻尾や耳をつけ、獣と同化しているような者、魔道士のような恰好をした者……その姿は様々だ。
「フェイレイさん!」
「フェイレイくん!」
ヴァンガードとローズマリーが同時に叫ぶ。だが彼らも他の魔族に阻まれて応戦することが出来ない。
「斬り裂いてグチャグチャにしちゃおうよ」
フェイレイを取り囲む魔族たちから、クスクスと笑い声が漏れる。
そんな彼らの動きを冷静に肌で感じながら、フェイレイは剣を構える。
大人数を相手にするとなると、もう一本剣が欲しいところだが、今は仕方ない。
柄を両手で握り締め、ふう、とひとつ息を吐き出した。
先手必勝、魔族たちが攻撃に出る前に素早く剣を薙ぎ払い、彼らの足元を掬った。
「はっは、甘い!」
魔族たちは軽く飛び上がり、地面を掠めていく剣圧から逃れた──と、思ったのだが。
完璧に逃れられたと思った魔族たちの脚を、鋭い気が刃となって襲い掛かった。
共に過ごした時間は短いというのに、自分たちのために命を賭して立ち向かっていく海賊たちに、フェイレイは歯噛みしながら魔族を切り裂く。
そこに、強大な力が突っ込んでくるのを感じ、飛び退いた。
ドン、と地面に穴を開けるほどの勢いで突っ込んできたのは、人型の魔族だ。
「お前かぁ? 猊下の大っ嫌いな『勇者』ってのはぁ」
大剣を肩に背負い、顔に斜めに傷を走らせた黒髪短髪の男が、フェイレイを見下ろしてニイ、と笑った。
その両脇に、パシャ、パシャ、と水音を響かせて人型の魔族が次々と降り立つ。
ざっと見渡して、10人はいる。剣を構えた者や、尻尾や耳をつけ、獣と同化しているような者、魔道士のような恰好をした者……その姿は様々だ。
「フェイレイさん!」
「フェイレイくん!」
ヴァンガードとローズマリーが同時に叫ぶ。だが彼らも他の魔族に阻まれて応戦することが出来ない。
「斬り裂いてグチャグチャにしちゃおうよ」
フェイレイを取り囲む魔族たちから、クスクスと笑い声が漏れる。
そんな彼らの動きを冷静に肌で感じながら、フェイレイは剣を構える。
大人数を相手にするとなると、もう一本剣が欲しいところだが、今は仕方ない。
柄を両手で握り締め、ふう、とひとつ息を吐き出した。
先手必勝、魔族たちが攻撃に出る前に素早く剣を薙ぎ払い、彼らの足元を掬った。
「はっは、甘い!」
魔族たちは軽く飛び上がり、地面を掠めていく剣圧から逃れた──と、思ったのだが。
完璧に逃れられたと思った魔族たちの脚を、鋭い気が刃となって襲い掛かった。