Faylay~しあわせの魔法
「糸が……切れないといいけれど」
この一週間ほとんど休んでいない彼は、本当は身も心もボロボロのはずだ。
それでも動いているのは、リディルを助けたいという想いから。それが彼を動かし、より一層強くしている。
そのピンと張り詰めた糸が切れたら──。
「カイン……」
祈りを込めて、魔族を拳で容赦なく吹き飛ばす。
「どうか、無事で」
そして、あの子を護って。
ローズマリーの身体から湧き出た闘気が拳に集約され、それを撃ち込むと弾丸のように気が飛び出して魔族たちを薙ぎ払った。
その横を、一陣の風が通り過ぎる。
バサリと黒いマントを翻して走り去ったそれは、フェイレイと魔族の間に立ち塞がる。
「『勇者』様のお手は煩わせねぇって、言っただろーがよお!」
ガキィン、と鈍い音を上げて魔族の剣とキャプテン・ブラッディの海賊剣がぶつかった。
「船長!」
「だからぁ~、船長はお前さんだってぇの!」
魔族の剣を吹き飛ばし、横から飛んできた槍をも叩き落す。
左目が見えていないなどと信じられないくらい、両側からの攻撃に対し、遜色ない反撃を繰り出す。
「行け、フェイレイ! ここは任せろ!」
船長の声に僅かに背後を振り返る。
海賊の船員たちが次々に地面に倒れていく様子を見て、フェイレイは一瞬迷いを見せたが。
ヒョオオ、と背後から迫る高い音に望みをかけ、皇宮へ向けて走り出した。
「頼んだ!」
「頼まれてやるぜぇ!」
ブラッディが声を張り上げた直後。
この一週間ほとんど休んでいない彼は、本当は身も心もボロボロのはずだ。
それでも動いているのは、リディルを助けたいという想いから。それが彼を動かし、より一層強くしている。
そのピンと張り詰めた糸が切れたら──。
「カイン……」
祈りを込めて、魔族を拳で容赦なく吹き飛ばす。
「どうか、無事で」
そして、あの子を護って。
ローズマリーの身体から湧き出た闘気が拳に集約され、それを撃ち込むと弾丸のように気が飛び出して魔族たちを薙ぎ払った。
その横を、一陣の風が通り過ぎる。
バサリと黒いマントを翻して走り去ったそれは、フェイレイと魔族の間に立ち塞がる。
「『勇者』様のお手は煩わせねぇって、言っただろーがよお!」
ガキィン、と鈍い音を上げて魔族の剣とキャプテン・ブラッディの海賊剣がぶつかった。
「船長!」
「だからぁ~、船長はお前さんだってぇの!」
魔族の剣を吹き飛ばし、横から飛んできた槍をも叩き落す。
左目が見えていないなどと信じられないくらい、両側からの攻撃に対し、遜色ない反撃を繰り出す。
「行け、フェイレイ! ここは任せろ!」
船長の声に僅かに背後を振り返る。
海賊の船員たちが次々に地面に倒れていく様子を見て、フェイレイは一瞬迷いを見せたが。
ヒョオオ、と背後から迫る高い音に望みをかけ、皇宮へ向けて走り出した。
「頼んだ!」
「頼まれてやるぜぇ!」
ブラッディが声を張り上げた直後。