Faylay~しあわせの魔法
ドオオン、と音を立てて大砲の弾が建物に突っ込み、大爆発を起こした。

それを引き金に次々と後方から大砲が打ち込まれ、そして連合軍の兵士たちが海賊たちと魔族を呑み込むように現れた。

地上では人と魔族の交戦状態に入る。

そして空を見上げれば、分厚い雲を突っ切り、小さな明かりをチカチカさせながら巨大な軍艦がいくつも下りてきた。

その前に立ちはだかるのは、飛行型魔族と、星府軍の戦艦たちだ。

元帥不在のまま発進した戦艦は、自分たちの住む都を護ろうと出撃していた。

彼らの中にはアレクセイを信じていいのか、それとも裏切り者として処罰すべきなのか、未だ量りかねている者が多かった。

それでも敵は攻めてくる。

ならば、何を信じれば良いのか迷うよりも、自分たちの護りたいものを護るのだと決心したのだ。

惑星王のいる皇宮、そして自分たちの住むこの都を護ろうと。

それぞれの想いが砲弾に乗り、ぶつかり合う。

暗闇に包まれる皇都の空に爆音が響き渡り、真っ赤な炎が巻き上がった。




皇宮までの道のりは長かったが、そこに至るまでの道は分かりやすかった。

港からずうっと伸びる広い道路は、市街地に入ってからも真っ直ぐに続いている。

そこをひた走る3人の前には、更に魔族が襲い掛かってきた。だが彼らは雨の流れる石畳の道を駆け抜けていく、水色の髪の少年の持つ魔銃に射抜かれた。

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