Faylay~しあわせの魔法
空から降り続く雨が止まって見えるようなスピードの中、ギン、ガキィンと、剣が交わり、暗い庭園に火花を散らす。
「そういえば、先程皇女殿下にもその指輪をお見せしたのですよ」
「!!」
フェイレイが目を見開いた瞬間に、アレクセイは長いリーチを生かし、フェイレイの届かない位置から切っ先を喉元へ滑り込ませた。
それを下からたたき上げ、がら空きになったところを身体を回転させながら懐に突っ込み、胴を真っ二つにする勢いで剣を振るう。
その前にアレクセイは半歩身を引き、頭上から剣を振り落とした。
それを芝生の上に靴裏を滑らせながら避け、アレクセイの背後へ回る。
「泣いておられました、殿下は」
フェイレイは濡れた芝生に片手をつき、足払いをかける。アレクセイはそれを見事に避け、後退した。
「おかわいそうに。中途半端に護りの誓いを立てられ、絶望だけを残して逝かれた。貴方の両親の罪は重い」
「……そうさせたのは!」
「私ですよ」
笑顔を見せるアレクセイに、フェイレイは剣を振りかぶった。
正面から突っ込んでくる、策も何もない剣。
それでも重かった。
剣の軌跡を見切って横に流しても、アレクセイの手には痺れが残る。
「甘いのですよ。護りきれないものを背負い込んで、結局は傷つける」
「それでも精一杯やった者を侮辱するな!」
「だから甘いというのだ!」
怒鳴りつけながら、アレクセイは長剣を振り回した。風を切り飛んでいく真空の刃が、いくつもフェイレイの肌をかすめ、切り刻んでいく。
「そういえば、先程皇女殿下にもその指輪をお見せしたのですよ」
「!!」
フェイレイが目を見開いた瞬間に、アレクセイは長いリーチを生かし、フェイレイの届かない位置から切っ先を喉元へ滑り込ませた。
それを下からたたき上げ、がら空きになったところを身体を回転させながら懐に突っ込み、胴を真っ二つにする勢いで剣を振るう。
その前にアレクセイは半歩身を引き、頭上から剣を振り落とした。
それを芝生の上に靴裏を滑らせながら避け、アレクセイの背後へ回る。
「泣いておられました、殿下は」
フェイレイは濡れた芝生に片手をつき、足払いをかける。アレクセイはそれを見事に避け、後退した。
「おかわいそうに。中途半端に護りの誓いを立てられ、絶望だけを残して逝かれた。貴方の両親の罪は重い」
「……そうさせたのは!」
「私ですよ」
笑顔を見せるアレクセイに、フェイレイは剣を振りかぶった。
正面から突っ込んでくる、策も何もない剣。
それでも重かった。
剣の軌跡を見切って横に流しても、アレクセイの手には痺れが残る。
「甘いのですよ。護りきれないものを背負い込んで、結局は傷つける」
「それでも精一杯やった者を侮辱するな!」
「だから甘いというのだ!」
怒鳴りつけながら、アレクセイは長剣を振り回した。風を切り飛んでいく真空の刃が、いくつもフェイレイの肌をかすめ、切り刻んでいく。