Faylay~しあわせの魔法
剣を横に構え、なんとか衝撃波に耐えたアレクセイだったが、衣も身体もボロボロになっていた。

フェイレイの今の力は、予想される魔王の力、それと同等の力のはずだ。

だがまだ、統制が取れていない。

ただ力が強いだけで、焦点を合わせられていないようだ。だから耐えられた。

「……これで、終わりですか」

ゴホ、と血を吐き出しながら、アレクセイは微笑んだ。

「こんなものでは……私は止められませんよ」

台詞が終わる前に、第二波が飛んできた。まったく容赦のない一撃。

優しさを残したフェイレイでは、自らに反動がくるほどの力を放ったりはしないだろう。だが今、彼は人としての情緒を捨てさせられた。まさに生きる凶器だ。

「ぐっ……」

身体中から血を噴き出しながら耐え切った第二波の直後。

噴煙の中から突如、フェイレイが現れた。

大振りの剣は易々と止められた。だが、受けた剣は粉々に砕け散る。

戦艦の甲板の上での戦闘とは反対に、今度はアレクセイの剣がその力に負けたのだ。

身ひとつとなったアレクセイを、フェイレイは執拗に追う。

けれど怒りで我を失ったせいなのか、力が空回りしてなかなかアレクセイを捉えることは出来ない。


『フェイレイ』

黒衣の騎士しか見えなくなっているフェイレイの頭の中で、柔らかいけれど、焦りを含んだ声が響いた。

『しっかりするんだ。心を失ってはいけない』

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