Faylay~しあわせの魔法
魔王は手を翳し、そこに太くて長い、黒光りする剣を出現させる。フェイレイの剣はそれに弾かれた。
それでもフェイレイは更に斬り込む。
どす黒い感情を纏ったまま、ただ殺してやりたいという想いを叩き付けた。
それを魔王は冷静に受け止める。
スッと目を細め、憐れむようにフェイレイを見ると、剣を繰り出してきたフェイレイを思い切り吹き飛ばした。
床にたたきつけられた後、何メートルも滑るように転がっていった身体は、その途中で跳ね上がるように飛び起きた。
ザッと床に足をつけると、更に魔王に向かっていく。
その瞳に殺意以外はない。
魔王が斬撃を繰り出しても避けることなく、すべて身体で受け止める。自分を護るという概念すらないのだ。
血を噴き出しながら、ただ目の前の敵を倒すことだけに集中し、突撃する。
「待って!」
そこに、高い声が響く。
魔王の後ろの扉から息を切らせて駆け込んでくるのは、翡翠の瞳の少女。
「フェイ、アルトゥルス、剣を退いて! 戦ってはいけない!」
今にも振り下ろされようとしているフェイレイの剣の前に出て、魔王を庇うように両手を広げる。
「リディルっ……」
暗黒の世界にいるフェイレイにも、彼女の姿だけははっきりと認識出来た。
はっとして振り下ろそうとしていた剣を、リディルの頭上でピタリと止める。
それでもその斬撃はリディルの額を斬り、そこからつっと一筋の鮮血が流れ出した。
それでもフェイレイは更に斬り込む。
どす黒い感情を纏ったまま、ただ殺してやりたいという想いを叩き付けた。
それを魔王は冷静に受け止める。
スッと目を細め、憐れむようにフェイレイを見ると、剣を繰り出してきたフェイレイを思い切り吹き飛ばした。
床にたたきつけられた後、何メートルも滑るように転がっていった身体は、その途中で跳ね上がるように飛び起きた。
ザッと床に足をつけると、更に魔王に向かっていく。
その瞳に殺意以外はない。
魔王が斬撃を繰り出しても避けることなく、すべて身体で受け止める。自分を護るという概念すらないのだ。
血を噴き出しながら、ただ目の前の敵を倒すことだけに集中し、突撃する。
「待って!」
そこに、高い声が響く。
魔王の後ろの扉から息を切らせて駆け込んでくるのは、翡翠の瞳の少女。
「フェイ、アルトゥルス、剣を退いて! 戦ってはいけない!」
今にも振り下ろされようとしているフェイレイの剣の前に出て、魔王を庇うように両手を広げる。
「リディルっ……」
暗黒の世界にいるフェイレイにも、彼女の姿だけははっきりと認識出来た。
はっとして振り下ろそうとしていた剣を、リディルの頭上でピタリと止める。
それでもその斬撃はリディルの額を斬り、そこからつっと一筋の鮮血が流れ出した。