Faylay~しあわせの魔法
「や、った……」
ようやく息を吐き出し、ヴァンガードは呟く。
フェイレイも震えながら息を大きく吐き出した。
「ごめ……完璧に、避けられなかった……」
視線だけを上にあげ、痛々しいリディルの腕に顔を顰める。
「ううん。フェイはやっぱり、凄い人だよ」
リディルはふわりと笑いながらも、カタカタと震える両手を合わせ、ギュッと握り締めた。
本当は怖かった。
もしフェイレイがランスロットに負けてしまっていたら。苦しむのはきっと、リディルを傷つけたフェイレイの方だから。
けれど彼は勝った。
魔王や精霊といった神に近しい存在と同等の力を持つ、偽りの勇者に。
「本当に……私の『勇者』、だね」
フェイレイはゆっくりと視線を上げ、リディルに向かって笑顔を見せる。
それはやはり太陽のように、リディルの心を明るく照らし出した。
しかし。
『一度だけのまぐれだよ』
床にめり込んだ剣が勝手に持ち上がり、フェイレイの身体は後ろへ飛んだ。
『君は私の血を引く者。私の意志を継ぐ者だ!』
ランスロットに剣を構えさせられる。
しかしそこからフェイレイは動かない。
ガタガタと全身を震わせ、歯を食いしばって戦おうとする自分を抑える。
「リディル……もうちょっと、待ってて。絶対に抑え込んでみせるから!」
ようやく息を吐き出し、ヴァンガードは呟く。
フェイレイも震えながら息を大きく吐き出した。
「ごめ……完璧に、避けられなかった……」
視線だけを上にあげ、痛々しいリディルの腕に顔を顰める。
「ううん。フェイはやっぱり、凄い人だよ」
リディルはふわりと笑いながらも、カタカタと震える両手を合わせ、ギュッと握り締めた。
本当は怖かった。
もしフェイレイがランスロットに負けてしまっていたら。苦しむのはきっと、リディルを傷つけたフェイレイの方だから。
けれど彼は勝った。
魔王や精霊といった神に近しい存在と同等の力を持つ、偽りの勇者に。
「本当に……私の『勇者』、だね」
フェイレイはゆっくりと視線を上げ、リディルに向かって笑顔を見せる。
それはやはり太陽のように、リディルの心を明るく照らし出した。
しかし。
『一度だけのまぐれだよ』
床にめり込んだ剣が勝手に持ち上がり、フェイレイの身体は後ろへ飛んだ。
『君は私の血を引く者。私の意志を継ぐ者だ!』
ランスロットに剣を構えさせられる。
しかしそこからフェイレイは動かない。
ガタガタと全身を震わせ、歯を食いしばって戦おうとする自分を抑える。
「リディル……もうちょっと、待ってて。絶対に抑え込んでみせるから!」