Faylay~しあわせの魔法
「下ろしてください」

「え?」

フェイレイが振り向くより早く、ヴァンガードは背中から飛び降りた。

「一人で歩けますから」

「お前足やられてるだろ?」

「片足は無事ですから」

「……血ぃ出てるけど?」

「掠り傷です!」

口をへの字にして、片足でぴょんぴょん跳びながら前に進みだすヴァンガードに、フェイレイは嬉しそうに微笑んでまた歩き出した。

いつまでドラゴンが目を回しているか分からない。おまけに、天井からはパラパラと小石が降ってくる。

早くここから出なければ。



やっと立坑の下まで辿り着き、ヴァンガードを先に登らせて、リディルを担いだフェイレイが後に続く。

登りきるまでいつドラゴンが目を覚ますかヒヤヒヤしたが、どうやらフェイレイの打撃は相当利いたらしく、無事に登り切ることが出来た。

出口ではガイドが心配そうな顔で待っていたが、3人が戻ってくると本当に嬉しそうに顔を輝かせた。

「大丈夫ですか! ドラゴンが出たと聞きましたが!」

「はい、なんとか無事に帰って来れました。すみません、俺たちだけでは完全に倒せないので応援がもうすぐ到着すると思います。そしたらもう一回行ってきますね」

「ですが、そのお怪我では……」

満身創痍なパーティを見渡し、ガイドは眉を顰める。
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