Faylay~しあわせの魔法
ゴッ、と白い風が吹き荒れる。
障壁を取り払ったリディルは、一歩一歩踏みしめるように、魔王に近づいていく。
「……私は、貴方を戦わせるためにここにいたんじゃない。貴方に力を取り戻させるためにいたのでもない。私は……貴方を倒すために、ここにいた」
リディルを包み込む眩い光が、ゆらりと空を彷徨い、柔らかく魔王を包み込んだ。
途端、魔王の顔に衝撃が走る。
「リディアーナっ……!」
魔王を包み込んだ白い光は、どこまでも優しく、柔らかな光であった。
だが、ゆるりと体内に侵入していく光は、魔王とカインの精神世界の奥へ、容赦なく進んでいく。
「私……お兄様と約束をしたの。絶対に、ローズさんと逢わせるからって……」
ピンクブロンドの髪をふわふわと揺らしながらこちらを見守っているローズマリーに目をやり、そして全身に力を込めた。
「ティターニアは後悔してた。貴方をひとりにしたこと。置いていってしまったこと。だから、今度こそ……一緒に、連れて行く」
「リディアーナ、お前……ぐうっ!」
魔王の顔が苦痛に歪み、ボロボロになった床に崩れ落ちた。
「やめろ……人間となったお前が、多少力を取り戻したところで私を倒せるわけがない……!」
「でも、貴方とお兄様を引き離すことくらいなら、出来る」
リディルが魔王を強くしたのと同じく、魔王もリディルを強くしていた。それが2人の間にある絆の力。
白い光は魔王とカインの魂の間に入り込み、力ずくで引き離そうとする。
「やめろ……リディアーナ!」
白い光で繋がれているせいで、魔王が反発すればリディルの身体も深い傷を負った。それでもリディルは力を緩めない。
障壁を取り払ったリディルは、一歩一歩踏みしめるように、魔王に近づいていく。
「……私は、貴方を戦わせるためにここにいたんじゃない。貴方に力を取り戻させるためにいたのでもない。私は……貴方を倒すために、ここにいた」
リディルを包み込む眩い光が、ゆらりと空を彷徨い、柔らかく魔王を包み込んだ。
途端、魔王の顔に衝撃が走る。
「リディアーナっ……!」
魔王を包み込んだ白い光は、どこまでも優しく、柔らかな光であった。
だが、ゆるりと体内に侵入していく光は、魔王とカインの精神世界の奥へ、容赦なく進んでいく。
「私……お兄様と約束をしたの。絶対に、ローズさんと逢わせるからって……」
ピンクブロンドの髪をふわふわと揺らしながらこちらを見守っているローズマリーに目をやり、そして全身に力を込めた。
「ティターニアは後悔してた。貴方をひとりにしたこと。置いていってしまったこと。だから、今度こそ……一緒に、連れて行く」
「リディアーナ、お前……ぐうっ!」
魔王の顔が苦痛に歪み、ボロボロになった床に崩れ落ちた。
「やめろ……人間となったお前が、多少力を取り戻したところで私を倒せるわけがない……!」
「でも、貴方とお兄様を引き離すことくらいなら、出来る」
リディルが魔王を強くしたのと同じく、魔王もリディルを強くしていた。それが2人の間にある絆の力。
白い光は魔王とカインの魂の間に入り込み、力ずくで引き離そうとする。
「やめろ……リディアーナ!」
白い光で繋がれているせいで、魔王が反発すればリディルの身体も深い傷を負った。それでもリディルは力を緩めない。