Faylay~しあわせの魔法
ランスは愚かだと、ランスロットは言う。
けれど『勇者の力』を危険だと判断したことは正しかったのだとフェイレイには分かる。
並大抵の精神力で抑えられる力ではない──。力に溺れず、大切な者を護るための道を選択した父を、フェイレイは誇りに思う。
「彼は惜しい人材だったけれど……まだ君がいた」
ランスロットは笑みを浮かべる。
「良かったよ。君のお父さんが何も知らなくて。私の存在を忘れたいがために祖先が後世に真実を伝えなかったことで、君は『勇者』を目指し、私を求めてくれた。……やっと機会が巡ってきた」
いつの間にかランスロットはフェイレイの目の前まで移動し、そしてフェイレイの胸に手を当てた。
フェイレイの手もランスロットの胸に置かれる。
そして。
その手は胸の中へ、にゅるりと入り込んできた。
「っ!?」
入り込んでくるランスロットの手。
入り込んでいく自分の手。
信じがたい光景に目を見開き、あまりの不快さに顔を顰めた。
「な、何を……」
「私とひとつになるんだよ、フェイレイ。君は私の意のままに操られる人形となるんだ」
ランスロットが笑みを浮かべると、肉体、そして精神を何かが這いずり回っていく感覚に襲われた。
「大切な人を護るだって? そんなことに力を使う必要はないよ。どんなに着飾っていても、人はみんな醜いものさ。得体の知れない力に怯え、蔑み、そして排除しようとする。でなければ見なかったフリをして目を背けて逃げるのみだ!」
フェイレイの脳裏に、白い空間で見たランスロットの過去が蘇る。
けれど『勇者の力』を危険だと判断したことは正しかったのだとフェイレイには分かる。
並大抵の精神力で抑えられる力ではない──。力に溺れず、大切な者を護るための道を選択した父を、フェイレイは誇りに思う。
「彼は惜しい人材だったけれど……まだ君がいた」
ランスロットは笑みを浮かべる。
「良かったよ。君のお父さんが何も知らなくて。私の存在を忘れたいがために祖先が後世に真実を伝えなかったことで、君は『勇者』を目指し、私を求めてくれた。……やっと機会が巡ってきた」
いつの間にかランスロットはフェイレイの目の前まで移動し、そしてフェイレイの胸に手を当てた。
フェイレイの手もランスロットの胸に置かれる。
そして。
その手は胸の中へ、にゅるりと入り込んできた。
「っ!?」
入り込んでくるランスロットの手。
入り込んでいく自分の手。
信じがたい光景に目を見開き、あまりの不快さに顔を顰めた。
「な、何を……」
「私とひとつになるんだよ、フェイレイ。君は私の意のままに操られる人形となるんだ」
ランスロットが笑みを浮かべると、肉体、そして精神を何かが這いずり回っていく感覚に襲われた。
「大切な人を護るだって? そんなことに力を使う必要はないよ。どんなに着飾っていても、人はみんな醜いものさ。得体の知れない力に怯え、蔑み、そして排除しようとする。でなければ見なかったフリをして目を背けて逃げるのみだ!」
フェイレイの脳裏に、白い空間で見たランスロットの過去が蘇る。