Faylay~しあわせの魔法
「何故……」
「リディルが信じてくれた。だから俺は、それに応える」
揺ぎ無い瞳で、フェイレイは言う。
「信じることが、力になる。ティターニアがあんたを信じたのはきっと、あんたに力をあげたかったんだ。哀しみを乗り越えて、笑顔を取り戻す力を」
「……知ったようなことを」
ランスロットは吐き捨てるように言った後、せせら笑った。
「そんなことで力が与えられるなら、今頃私は世界を手に入れている」
「……あんたは本当に、世界を手に入れたかったのか?」
思いがけない質問に、ランスロットはサッと笑みを消した。
「どういう意味だい?」
「そのままの意味だ。あんたは本当に、世界を手に入れたかったのか?」
フェイレイの質問に、ランスロットは僅かに戸惑うように瞳を揺らした。
「そうだよ。魔王も、精霊王も、ティターニアも排除して、私を苦しめたすべての人々を地獄に堕としてやるんだ」
「じゃあ、あの人を殺さなかったのは、何でだ?」
明らかにランスロットの顔色が変わった。
「……誰のことだい?」
逸らされた視線に、真実が見える。フェイレイは確信を持った。
「あんた、あのとき……自分の母さんは殺さなかっただろう?」
部屋の墨に蹲って泣いていた女性は。
ランスロットの母親だった。
息子が虐待されていることに耳を塞ぎ、目を閉じ、ただ震えていた女性。
ランスロットが父親を真っ二つに斬り裂いて殺してしまった日。逃げ際に母親の姿がチラリと視界に飛び込んでいた。
震えながらランスロットを見つめていた母親。
何もしてくれなかった彼女を、ランスロットは憎んでいたはずなのに。
彼は何もせずに家を飛び出していった。動揺して震えながら、転げるように山道を駆け抜けていった。
「リディルが信じてくれた。だから俺は、それに応える」
揺ぎ無い瞳で、フェイレイは言う。
「信じることが、力になる。ティターニアがあんたを信じたのはきっと、あんたに力をあげたかったんだ。哀しみを乗り越えて、笑顔を取り戻す力を」
「……知ったようなことを」
ランスロットは吐き捨てるように言った後、せせら笑った。
「そんなことで力が与えられるなら、今頃私は世界を手に入れている」
「……あんたは本当に、世界を手に入れたかったのか?」
思いがけない質問に、ランスロットはサッと笑みを消した。
「どういう意味だい?」
「そのままの意味だ。あんたは本当に、世界を手に入れたかったのか?」
フェイレイの質問に、ランスロットは僅かに戸惑うように瞳を揺らした。
「そうだよ。魔王も、精霊王も、ティターニアも排除して、私を苦しめたすべての人々を地獄に堕としてやるんだ」
「じゃあ、あの人を殺さなかったのは、何でだ?」
明らかにランスロットの顔色が変わった。
「……誰のことだい?」
逸らされた視線に、真実が見える。フェイレイは確信を持った。
「あんた、あのとき……自分の母さんは殺さなかっただろう?」
部屋の墨に蹲って泣いていた女性は。
ランスロットの母親だった。
息子が虐待されていることに耳を塞ぎ、目を閉じ、ただ震えていた女性。
ランスロットが父親を真っ二つに斬り裂いて殺してしまった日。逃げ際に母親の姿がチラリと視界に飛び込んでいた。
震えながらランスロットを見つめていた母親。
何もしてくれなかった彼女を、ランスロットは憎んでいたはずなのに。
彼は何もせずに家を飛び出していった。動揺して震えながら、転げるように山道を駆け抜けていった。