Faylay~しあわせの魔法
剣の柄を両手で持ち、すうっと息を吸い込む。
「でやあああああ!!」
身体中から搾り出したような声とともに剣を振り上げ、衝撃波を放つ。
それはゆらめく巨大な黒い塊をすべて呑み込むほどの強大な力で、見事巨体を傾けることに成功した。
一瞬だけ、微かな希望の光が見えたと思った。
だが魔王はフェイレイの放った衝撃波を丸々その黒い体内に取り込んで、その中で更に巨大化させ始めた。
「──っ!!」
リディルが耐え切れずに後ろへと倒れていく。
魔王を何とか縛り付けていた白い糸はすべて千切られ、彼女はすべての力を使い果たした。
ごめんなさい、とリディルは心の中で謝る。
せめてこの手で倒してあげようと思っていたけれど、魔王の言うとおり、ただの人間となったリディルが、完全体となった魔王に敵うはずがなかった。
「リディル!」
床に頭をつける前にフェイレイが手を伸ばし、身体を受け止める。
その瞬間、辺りに閃光が散った。
フェイレイの力が何倍にも膨れ上がり、解き放たれる。
振り返った深海色の目に映る、視界いっぱいに広がった闇色の塊。絶望と言う名の、魔王からの贈り物。
それを見て、フェイレイは剣を握り締めた。
「……大丈夫」
リディルもそっとフェイレイの腕に触れ、彼を送り出す。
「フェイは、出来る」
その言葉に後押しされ、フェイレイは立ち上がり、剣を構えた。
絶対に負ける気はしなかった。
必ず──護るから。
「でやあああああ!!」
身体中から搾り出したような声とともに剣を振り上げ、衝撃波を放つ。
それはゆらめく巨大な黒い塊をすべて呑み込むほどの強大な力で、見事巨体を傾けることに成功した。
一瞬だけ、微かな希望の光が見えたと思った。
だが魔王はフェイレイの放った衝撃波を丸々その黒い体内に取り込んで、その中で更に巨大化させ始めた。
「──っ!!」
リディルが耐え切れずに後ろへと倒れていく。
魔王を何とか縛り付けていた白い糸はすべて千切られ、彼女はすべての力を使い果たした。
ごめんなさい、とリディルは心の中で謝る。
せめてこの手で倒してあげようと思っていたけれど、魔王の言うとおり、ただの人間となったリディルが、完全体となった魔王に敵うはずがなかった。
「リディル!」
床に頭をつける前にフェイレイが手を伸ばし、身体を受け止める。
その瞬間、辺りに閃光が散った。
フェイレイの力が何倍にも膨れ上がり、解き放たれる。
振り返った深海色の目に映る、視界いっぱいに広がった闇色の塊。絶望と言う名の、魔王からの贈り物。
それを見て、フェイレイは剣を握り締めた。
「……大丈夫」
リディルもそっとフェイレイの腕に触れ、彼を送り出す。
「フェイは、出来る」
その言葉に後押しされ、フェイレイは立ち上がり、剣を構えた。
絶対に負ける気はしなかった。
必ず──護るから。