Faylay~しあわせの魔法
長雨が続き、山が崩れ、土砂が濁流となって街に襲い掛かった。その名残が至るところに残る皇都北西部。
「せぇ~のっ!」
乾いた土の中に埋まっていた何メートルもある大木をひとりで持ち上げ、フェイレイは振り返った。
「はい、どいたどいたー!」
肩に担いで走っていると、一緒に作業している人々が笑顔を向けてくる。
「さっすが勇者様、頼りになるなぁ!」
「勇者様、気をつけて、そこまだ濡れていて滑りますよ」
「はいよー」
人々に笑顔を振りまきながら折れた木を運び、戻ってまた運び、それを延々と繰り返す。嵐に晒され続けて壊れかけた重機を使うより、フェイレイの方が断然作業が早かった。
少し前ならば、こんな風に困っているときは精霊たちが手伝いに来てくれていたのだが、天候が回復しても彼女たちは戻ってこなかった。
きっと、あの戦いで力を使い果たしてしまったのだ。
小さな命を削ってフェイレイたちを助けてくれた精霊たちは今、静かな眠りについている。
そして魔族たちは、人里離れた奥地へ逃げ込み、姿を見せることはなかった。
魔王が再び眠りについたことで、彼らも力を奪われた。しばらくは大人しく鳴りを潜め、様子を見ようとしているのかもしれない。
おかげで街の整備がはかどった。
瓦礫や土砂を避け、人々の住まいの建築が急ピッチで進められていく。
けれど疲労も相当たまっているようで、たまに事故も起きる。
「大変だ、機械が倒れて人が下敷きに!」
そんな声が聞こえてくれば、フェイレイは一目散に飛んでいって救助の手助けをした。
「せぇ~のっ!」
乾いた土の中に埋まっていた何メートルもある大木をひとりで持ち上げ、フェイレイは振り返った。
「はい、どいたどいたー!」
肩に担いで走っていると、一緒に作業している人々が笑顔を向けてくる。
「さっすが勇者様、頼りになるなぁ!」
「勇者様、気をつけて、そこまだ濡れていて滑りますよ」
「はいよー」
人々に笑顔を振りまきながら折れた木を運び、戻ってまた運び、それを延々と繰り返す。嵐に晒され続けて壊れかけた重機を使うより、フェイレイの方が断然作業が早かった。
少し前ならば、こんな風に困っているときは精霊たちが手伝いに来てくれていたのだが、天候が回復しても彼女たちは戻ってこなかった。
きっと、あの戦いで力を使い果たしてしまったのだ。
小さな命を削ってフェイレイたちを助けてくれた精霊たちは今、静かな眠りについている。
そして魔族たちは、人里離れた奥地へ逃げ込み、姿を見せることはなかった。
魔王が再び眠りについたことで、彼らも力を奪われた。しばらくは大人しく鳴りを潜め、様子を見ようとしているのかもしれない。
おかげで街の整備がはかどった。
瓦礫や土砂を避け、人々の住まいの建築が急ピッチで進められていく。
けれど疲労も相当たまっているようで、たまに事故も起きる。
「大変だ、機械が倒れて人が下敷きに!」
そんな声が聞こえてくれば、フェイレイは一目散に飛んでいって救助の手助けをした。